政治資金問題が浮上していた佐藤ゆかり衆院議員(54)が12日に予定していた記者会見をキャンセルした。佐藤氏は出来成元前自民党大阪府議(67)と200万円の寄付金をめぐって見解が対立。双方が政治資金規正法違反(虚偽記載)の容疑で告発し合う異常事態となっていた。

 佐藤氏は文書でコメントを出し、「法令違反は全くない」「なぜ、出来氏がこのような事実無根の告発を行うのか、理解しがたい」と潔白を主張。さらに、この件を最初に報じた産経新聞に対し、民事訴訟を起こすという。

 身内同士のいさかいには理由がある。自民党大阪府連関係者は「佐藤氏が参院から鞍替えして大阪から出馬することになったのは党本部の意向でした。それを受けて出来氏が佐藤氏の当選に尽力したのです」と話す。大阪11区は枚方市と交野市で出来氏は枚方市が地盤だったのだ。

 佐藤氏にとって出来氏は恩人のはず。しかし、15年4月の大阪府議選で出来氏が落選。「佐藤氏は絶対に勝たせないといけない人を負けさせてしまった」(前出関係者)。恩をあだで返す行為に大阪の自民党関係者は佐藤氏に強い不信感を持つようになった。

 それだけではない。その後、15年8月に枚方市長選挙が行われ、自民党は新人候補擁立を検討。「佐藤氏は『私が連れてくる』と豪語しましたが、それができず、なぜか現職候補の応援に回ったのです」(同)。出来氏は別の候補を応援し、自民党は分裂選挙に突入。結局、大阪維新の会の候補者が勝利した。

 この大阪府連関係者は「これは大阪ではなく自民党の抱える“佐藤問題”です。ほかの選挙区でもトラブルを起こしてきたのですから」と突き放す。自民党関係者も「政界渡り鳥の彼女だけど、これで息の根が止まりそう。選挙を応援する人がいないよ」とこぼす。新天地なんてあるのか。