“アベノミクス”の司令塔、甘利明経済再生担当相(66)が口利きへの見返りとして、千葉県の建設会社から現金供与や接待などで少なくとも1200万円を受け取っていた疑惑が持ち上がった。

 21日発売の「週刊文春」によると、千葉県白井市の建設会社が、同社に隣接する道路建設を巡る都市再生機構(UR)との補償交渉に際し、神奈川県大和市にある甘利氏の事務所の所長で、公設秘書の男性に相談。補償交渉が決着すると、「事務所側に500万円を渡した」と証言した。

 甘利氏の政治資金収支報告書によると、建設会社名義で自民党神奈川県第13選挙区支部に100万円、神奈川県大和市第2支部には100万円の政治献金が記載された。ところが、残る300万円については記載がなかったと指摘している。また、同誌では建設会社が甘利氏に直接、現金100万円を渡したとも証言。現金提供や接待などの形で少なくとも計1200万円が甘利氏側に渡ったと伝えた。

 甘利氏は20日、閣僚会議後の記者会見で、「国民から後ろ指をさされるようなことは今までやっていない。今後しっかり調査したうえで、国会議員でもあり、閣僚でもあるので、国民に疑惑を持たれることのないように説明していきたい」と話した。

 週刊誌報道が事実となれば、政治資金規正法違反やあっせん利得処罰法違反に当たる可能性がある。野党側は徹底追及する構えで、民主党の枝野幸男幹事長(51)は「(甘利氏は)相当深刻な問題を抱えている。相当厳しく国会で問いたださないといけない」と語った。

「甘利氏は真相に真摯に向き合い、解明することが求められている。東京地検特捜部は、状況証拠が揃ったと判断したら、捜査に着手するのではないか」(野党関係者)

 TPPの日米交渉では「タフネゴシエーター」と称され、安倍晋三首相(61)の信頼も厚い甘利氏だが、疑惑を晴らすことができなければ、来年度予算審議も控える中で悪影響は必至。甘利氏の進退は、安倍政権の屋台骨を揺るがしかねない。