国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」によって、ジャーナリスト安田純平さん(41)がシリアの武装勢力に拘束されていると発表されて数日がたつが、表立った動きはない。安田さんを拘束したのは「ヌスラ戦線」という過激派組織だという。国境なき記者団が「身代金が要求され、カウントダウンが切られている」と主張する一方、ジャーナリストの常岡浩介氏は「ご家族にも外務省にも身代金要求は来ていない」と否定。身代金情報は国境なき記者団の勇み足だと話していた。

 自民党関係者は「本当に要求がないのか。日本政府の立場からすると、要求を公に認めることはできない。安田氏の家族にも要求があったと言わないようにと口止めすることは考えられる。というか、口止めしているものでしょう」と話す。

 日本政府はテロには屈しないという立場で身代金要求はのめない。今年1月にジャーナリストの後藤健二さんが『イスラム国』に拘束されていたことが明らかになった。イスラム国は2億ドルの身代金を要求。このときも日本政府は身代金は払わないと一貫した姿勢でいた。

「そうはいっても、裏で身代金を払って解決できるなら払うでしょう。問題はそれが表に出てしまうと払えなくなってしまうこと。国内でも国外でも批判の的になってしまう」(前出関係者)

 安田さんは7月から行方が分からなくなっていた。公安関係者は「当時、ささやかれていたのは安田氏がドローンをシリアに持って行ったのではないかという話でした。ドローンが兵器に見えたので武装勢力に拘束されたというのです」と明かす。

 とにかく無事に帰国してもらいたいものだ。