日本政府が頭を悩ますシー・シェパード“乱入”

2015年12月18日 07時00分

 反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」に日本政府が、またまた頭を悩ませている。1日に日本の捕鯨船が南極海に向け出港したことにSSは猛反発。妨害行動を宣言している。それだけではない。反捕鯨国オーストラリアの首相が18日に来日。日本はオーストラリアの潜水艦開発計画への参画を狙っているが、捕鯨問題が取引に使われそうな気配なのだ。

 菅義偉官房長官(67)は16日、「ターンブル首相を初めて日本に招くことで、幅広い分野にわたり築かれてきた2国間関係が一層発展することを期待したい」とオーストラリア首相の訪日を歓迎した。日本には潜水艦の売り込みという大きな目的がある。

 オーストラリアは、500億同国ドル(約4兆4000億円)規模になる海軍の次世代潜水艦開発計画を進めている最中。共同開発の相手を選定中で、日本政府以外にドイツとフランスの企業が参加表明しており、日本は海上自衛隊の最新鋭潜水艦「そうりゅう型」の技術供与を想定。契約額は2兆円とも言われ、日本政府にとって同首相の来日はまたとないチャンスというわけだ。そこに「待った!」をかけるのがSSだ。SS関係者は日本の調査捕鯨を「妨害してやる」と息巻いている。

 2012年に米サンフランシスコ連邦高等裁判所はSSに対して、日本の捕鯨船への妨害活動を禁じる仮処分命令を出していた。同国最高裁で確定した判決だが「米国のSSとオーストラリアのSSは別ものという詭弁を使って、再び彼らは船を出そうというのです」(日本政府関係者)。

 それだけではない。一番の問題は、SSなど反捕鯨派はオーストラリア政府に対して「潜水艦計画では捕鯨問題を取引材料にするべきだ!」と要求している。“捕鯨をやめないと計画に参加させないと脅せ”というのだ。同国は反捕鯨国の筆頭だけに、もともと捕鯨問題は重要課題になっていた。

「これには日本政府も頭を悩ませています。安倍政権下で武器輸出三原則を改め、防衛装備移転三原則にしています。潜水艦開発に参加して今後の武器輸出に弾みをつけたい。とはいえ捕鯨は日本の文化でもある。ましてや安倍政権には『捕鯨をやめよう』なんて言えるはずもない」(前同)

 今や自民党の“ドン”と呼ばれている二階俊博総務会長(76)の存在がそれを許さないのだ。二階氏の地元和歌山3区は捕鯨文化の続く太地町を含む。「二階氏は党本部の食堂に、鯨肉を扱うよう要請したこともあるほど捕鯨文化保護に熱心です」(自民党関係者)

 莫大な金を生む武器輸出に捕鯨文化。さらにSS乱入と難しい局面に差し掛かっている。