自民党の「北朝鮮による拉致問題対策本部」(古屋圭司本部長)は8日、党本部で会見を開いた。古屋氏と塚田一郎事務局長(51)は今月初め、拉致問題の全面解決に向けての連携強化を訴えるためワシントンやニューヨークを訪問。米国の上下両院による拉致国会決議のキーマンと呼ばれる議員たちと会談した。

 その結果、2004年8月に中国雲南省で行方不明となった米国人留学生デービッド・スネドン氏(24=当時)が、北朝鮮の工作員に拉致された可能性が濃厚になったとして、年明けの上下両院で拉致国会決議が行われる見通しが立ったと明かした。

「米国上下両院拉致国会決議の議員は、ここ1、2か月で決議をしたいと言っていた。米国の認識では、拉致はテロに等しい。軍隊を出してでも拉致被害者を取り戻す。今後は日米が連携して北朝鮮に対して圧力をかけていける」(古屋氏)

 米大手マスコミは、デービッド氏が北朝鮮に拉致された可能性があると伝えた。米国人の拉致問題解決への関心度は高いとみられている。

 日本人拉致をめぐっては、北朝鮮側からの再調査報告は先送りされているとみられ、事態は依然として硬直している。

 年明けの米国議会で拉致国会決議が通過すれば、北朝鮮に対する日米包囲網はより一層強化されるが、解決のメドは立つのか。

「コリア・レポート」の辺真一編集長は「安倍自民党の米国を巻き込んで拉致被害者を救出するやり方は、遠回りしているように思います。北朝鮮は他にも米国人の宣教師や女性ジャーナリストなどの身柄を拘束したと伝えられてきた。しかし、米国が軍を出動させて救出したことはない。解決するためには日米トップリーダーが直接、北朝鮮と交渉しないと拉致被害者も拘束中の米国人も救出できないと思います」と指摘した。

 拉致被害者の一日も早い救出が待たれる。