注目の自民党総裁選は告示日の8日、野田聖子前総務会長(55)が緊急会見で出馬断念を表明した。これにより、安倍晋三首相(60)の無投票再選が決まった。

 今回の総裁選では、参院で安全保障法案の採決を控えていることもあり、大きな混乱を避けるため党内7つの派閥が早い段階から安倍首相の再選を支持した。

 そんな中、野田氏は「安倍首相の無投票再選は避けるべきだ」として立ち上がったが、立候補に必要な20人の推薦人を集めることができなかった。自民党関係者が内幕を語る。

「野田氏に近い若手議員は『衆議院の採決で安保法案に賛成したのに、なぜ総裁選に立候補するのか。党員には焦点が見えないだろう。推薦人には絶対にならない』と声を荒らげた。野田氏が立候補に固執した理由は、安倍首相の側近中の側近、稲田政調会長に“ポスト安倍”を奪われるのを警戒したからだと皮肉る人たちが出ています」

 野田氏は郵政大臣や消費者担当大臣など数々の大臣を歴任し、日本初の女性首相に最も近い政治家といわれた。しかし、安倍首相が稲田朋美氏(56)を政調会長に大抜てきすると、党内で存在感が薄くなり、危機感を抱くようになった。

「安倍首相と野田氏は当選8回の同期です。野田氏が郵政民営化に造反して無所属になったときも、安倍首相は第1次政権下で復党させ、第2次政権では総務会長に抜てきするなど、良好な関係を続けました。しかし、野田氏が昨年、集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈変更を進める安倍政権の姿勢に雑誌で疑義を呈してから、関係が悪くなった。稲田さんは安倍首相に近づき、本気で総理への道を歩もうとしています」(前出関係者)

 稲田氏は永田町で“網タイツと眼鏡が似合うタカ派女性議員”といわれており、安倍首相のお眼鏡にかなったようだ。