自民党の武藤貴也衆院議員(36)が出資金詐欺まがいともいえる金銭トラブルを起こしていたことが判明し、19日に“スピード離党”した。現職国会議員が言葉巧みに4100万円をも集めた古典的手法は…。

 武藤氏の金銭トラブルは19日発売の「週刊文春」が報じた。武藤氏は昨年11月に東証マザーズに上場したソフトウエア会社「CRI ミドルウェア」のIPO(新規公開株)について「証券会社から国会議員枠を抑えた」「最低でも2倍になる」と知人に出資を持ちかけた。知人は出資者を募り約4100万円を集めたが、株は購入されることなく、武藤氏側が一部を使い込んでしまい約700万円の返却が滞っているという。

 滋賀4区選出で当選2回の武藤氏は麻生派に所属していた。タカ派的言動が目立ち、安保法案に反対する学生グループ「SEALDs」を「『戦争に行きたくない』という極端な利己的考え」と批判し、党内からも問題視されていた。

「見た目はガキで、よく秘書と間違われていますが、党の部会でも先輩議員や役人に歯向かい、なかなか骨があった。ただ議員特権のような不正な口利きや詐欺同然の行為が本当なら議員辞職ものです」(自民党関係者)

 武藤氏が持ちかけた新規株「CRI」は公募価格2400円に対し、初値は1万3500円と5倍以上になった。昨年のIPO初値上昇ランキングで1位となった株で、武藤氏側の見立ては当たったともいえるが、購入していなければ、どうにもならない。

「武藤氏も認めているようですが、今回のカネを集めるスキームは秘書のA氏が描いたようです。A氏は既に引退した元防衛相の秘書を長らく務めていた大物で、ブローカーまがいの話をよく耳にします」(議員秘書)

 武藤氏は18日、「個人的なことでこれ以上党に迷惑をかけられない」と離党届を提出し、即日受理された。出資者側に金を返さなければ、横領や詐欺で訴えられる可能性もあり、離党どころで済まない問題になってくるが、武藤氏は被害を訴えた知人を逆に詐欺で刑事告訴する準備を進めているとしている。