大阪府東大阪市の野田義和市長(58)は7日、虚偽の収支報告書を提出し、広報チラシを作成・配布したように装い、実際には支出していない政務活動費約1600万円を不法に受け取ったとして詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで、自民党東大阪市議団関係者に対する告訴状を府警に提出した。

 自民党市議団によると3年間で約85万枚の「市議会だより」を作成。所属する議員が持ち帰り、各地域にポスティングしたという。しかし、東大阪市の人口は50万人程度にもかかわらず、もらった記憶がある市民はいなかった。そのため配布の実態のない架空のチラシを作り、政務活動費を不正受給した疑惑が浮上したのだ。その後、弁護士などを使って調査をした野田市長は「看過できない」と刑事告訴に踏み切った。

 これに先立って自民党市議団は1日に会見し、かたくなに「配布の事実はある」と主張した。そのくせ、なぜか政務活動費1600万円を返還。自民党市議団の岡修一郎幹事長は「適切に執行したと考えているが、書類の不備がございましたので、けじめをつけさせていただきたい」とよく分からない説明に終始。市民の誰もチラシを知らないことについては「効果は薄かったと感じている」と言い訳した。

 また東大阪市議会は政務活動費を使う広報紙などには、報告書に現物の添付を求めたが、自民党市議団は無視。監査委員会から指摘を受けて3年分を一気に提出した。しかし“急いで作った”ためか、提出されたものは東大阪市の発行する「議会だより」の内容にソックリで誤字脱字も多く、除名されたはずの議員が所属議員として紹介されているなど、ありえない内容だった。

 政務活動費の不正受給といえば“号泣県議”の名前で昨年、大騒動になった野々村竜太郎元兵庫県議がいる。不自然な日帰り出張を繰り返した野々村氏の問題以降の調査で、東大阪市議会では政務活動費でブランド物のバッグを購入するなど不適切な支出が相次いで発覚し、現職31人が約3000万円を返還する異常事態が発生していた。まだまだチラシ問題の波乱も広がりそうだ。