24年収監 冤罪の米男性に補償金7億8000万円…日本は1日1000円レベル

2015年06月27日 06時00分

 殺人罪で24年間、刑務所に収監された末に冤罪が判明した男性と、米ニューヨーク市は23日、625万ドル(約7億8000万円)を支払うことで和解した。米では冤罪被害者に対し、高額な補償金が支払われることは珍しくない。これが日本の場合、大きく異なる。現状を専門家に聞くと、なんと1日1000円もあり得る旧態依然の制度のままだった。痴漢などの冤罪が少なくないだけに、決して人ごとではない。

 ニューヨーク市から補償金を受け取るのは、1989年8月に友人を銃で射殺したとして逮捕されたジョナサン・フレミングさん(52)。殺人罪で禁錮25年の判決を受け、24年間、収監されていた。2013年の再審で、フレミングさんのアリバイを証明する電話の領収書が見つかり、冤罪が確定。昨年4月に釈放された。

 日本ではどうか。冤罪被害者に対し、刑事補償法では、裁判所の判断で1日当たり1000~1万2500円の額を決め、身柄拘束された日数分の補償金を支払う。1日1000円の補償もあり得る規定がいまだに横たわっているのだ。足利事件で約17年間、拘束された菅家利和さんには上限の1日1万2500円が適用され、約8000万円が支払われた。

 東電OL殺害事件で約15年間拘束されたネパール人のゴビンダさんには約6800万円の補償金だった。これ以外に国家賠償請求訴訟を行う手もあるが、勝訴までのハードルは高く、菅家さんやゴビンダさんも訴え出ていない。

 国会で冤罪問題を追及している民主党の鈴木貴子衆院議員(29)はこう指摘する。

「不当逮捕で自由や社会的立場、ありとあらゆるものを失うにもかかわらず、補償の上限が1日1万2500円というのは妥当なのか。この規定は23年前に改正されて以来、変わっていません。この間、物価や社会状況も変わっている。1000~1万2500円と幅が広く、補償格差もあります」

 さらに、補償が適用されないケースもあるという。

「在宅起訴など身柄拘束を受けていない場合の冤罪は、刑事補償法の対象外になるんです。拘束されなかったとしても、社会的制裁は受けるのにその補償がないのも問題です」(鈴木氏)

 殺人罪などの重大事件が注目されがちだが、痴漢冤罪などでも同様だ。もし、無実の痴漢で逮捕され、2か月拘束された間に会社をクビになり、妻からは離婚請求された後に、冤罪と判明しても補償額は約6万~75万円しかない計算だ。これでは社会復帰はままならない。明日は我が身と考えれば、人ごとではない。