東京都の舛添要一知事(66)が26日の定例会見で、新国立競技場(東京都新宿区)の整備費用500億円の負担を求められている問題で、文科省にブチ切れた。

 18日、舛添氏は下村博文文部科学相(61)と都庁で会談。その際、下村氏から2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画を見直す考えを伝えられた。また下村氏は整備費として総額1700億円のうち約500億円を都が負担するよう要請。舛添氏は「事前の説明がない。費用負担の根拠を明らかにするべきだ」と回答を保留。文科省は今月中に回答すると説明した。

 ところが、舛添氏によると、会談後の21日、下村氏や文科省幹部が安倍晋三首相(60)のもとを訪れ、都の同意なく「500億円の算出根拠を示した」と暴露。舛添氏は「何の相談もなく安倍首相に紙を持って行き『都に負担を求めてもいい』というのは、おかしいだろう」と激怒した。

 さらに26日、文部科学省が都の負担額を約580億円と試算したことが新たに分かった。

 政府関係者は「実際の整備費は2500億円以上とされています。運営費も20億円以上の赤字が継続すると試算されている状況です」と語る。

 政府では、現行案をゼロベースで廃案として、機能性を追求した新国立の「新計画案」を検討していた。なぜ下村氏や文科省は舛添氏に相談もなく暴走するのか。

 野党国会議員は「新国立にしても役人が権力を握り行使してしまっています。民主党政権の時は『役人主導から国民主導へ』というスローガンで政権運営してきたが、選挙で負けた。自民党の安倍政権の場合は、官邸が主導して現行案を廃案にした上で、オールジャパンで取り組む姿勢だったが、対外的な見えや建設事情を考慮して役人の言いなりになったのではないか」と指摘した。

 果たして文科省は都民が負担することになる費用の根拠をしっかり示すことができるのか。