籾井勝人会長(72)のハイヤー問題で揺れるNHKの予算案が25日、衆院総務委員会で“強行”採決された。この日、民主党の籾井問題担当でもある階猛衆院議員(48)が質問に立ち、籾井氏がプライベートで行ったゴルフのハイヤー代をNHKが肩代わりした件について、「背任罪や特別背任罪ではないか」と追及した。

 上田良一日本放送協会監査委員(65)は「籾井氏には自己で負担する意思があった」と背任罪の可能性を否定。籾井氏は「自分で支払うつもりだったと明確に言っている」と繰り返した。階氏は「あとから支払えば問題がないのか」と食い下がるも、自民党議員から「(質問を)国民が聞いているよ。恥ずかしいよ」とヤジが飛んだ。

 階氏以降も民主党や野党の質問が続いたが、どれも決め手を欠いた。結局、採決となり民主党議員らが総務委員長に詰め寄るも、あっけなく賛成多数で承認された。多くの報道陣が集まったが、採決では荒れず。

 籾井氏のハイヤー問題は国民の不信を呼んでいるし、高すぎるNHK職員の給与問題やNHK放送センターの建て替えにかかる巨額費用の問題もある。議論の余地はまだあったはずだ。

 どうして民主党は追及しきれなかったのか。政府関係者は「2月に民主党は籾井氏を呼んだ会議を行っています。階氏が籾井氏を追及して、口論になるシーンはテレビでも放送されました。それを受けてネットだけでなく、テレビのワイドショーでも『どっちもどっちなんじゃないか』という指摘が相次いでいました」と話した。

 籾井氏批判が民主党批判を呼び起こす事態になってしまっていたのだ。同委員会理事の民主党、奥野総一郎衆院議員(50)は「強行採決は非常に残念だ」と話していたが、民主党がこの体たらくでは自民党はやりたい放題だろう。