「日本版CIA」強化が進まない事情

2015年02月15日 11時00分

 安倍晋三首相(60)はイスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質2人の殺害を受け、テロ対策として“日本版CIA”の必要性を訴えているが、なかなか前に進められない状態が続いている。

 12日の施政方針演説の冒頭で安倍首相は「日本人がテロの犠牲となったことは痛恨の極みだ。非道かつ卑劣極まりないテロ行為を断固非難する。日本がテロに屈することは決してない」と語った。

 水際対策強化などで日本人の安全確保に万全を期すと表明したが、テロ組織は、閉鎖的であるため内部情報を収集することは極めて困難。そこで必要となるのが安倍首相が進める日本版CIAだ。日本の対外情報収集は外務省、内閣調査室、防衛省、警察(公安)が担当しているが、米国のCIA(中央情報局)、英国のMI6などと比べ、頼りないのは明らかだ。

「国家の諜報機関は、近隣諸国からの情報を得ることが大切。中国や台湾なら華僑や華人、韓国なら北朝鮮に同胞が住んでいるのでそこから情報を得る。しかし、東南アジアを含め、日本系移民は非常に少ない。戦後の冷戦時代の日本政府は、日本の商社が中東や共産圏にパイプを持っていたので協力してもらっていた。ですが、現在は外交官も企業も法令順守でトラブルを避ける」と日本の公安関係者は明かす。

 国会では国内テロ対策として内閣調査室を「内閣調査局」に格上げするプランが浮上。自民党内でも議論が行われているが、具体的な方針は示されていない。

「喫緊の課題として挙げられているのは、現地に政府の担当者を派遣して情報ルートを構築することだが、果たしてできるのか。今回、日本人救出に向けて連携した国々が提供してくれた情報は、公式なものがほとんど。政府の担当者が独自に海外に行き、情報収集するオペレーション(作戦)は、そう簡単なものではありません。早急な法整備も必要になってきますし」(自民党関係者)

 政府は情報機関の再編に動きだす意向だが、一朝一夕にはできない。