弁護士・郷原信郎氏が横浜市長選で展開 “落選運動”は今後の日本社会に根付くか

2021年08月30日 11時30分

落選運動について語る郷原氏
落選運動について語る郷原氏

“落選運動”とは一体何だったのか。22日に投開票が行われた横浜市長選で落選運動を展開した元検察官で弁護士の郷原信郎氏が「自分が出馬するよりも落選運動をやってよかった」と手応えを感じている。郷原氏は今回の落選運動が合法である理由を解説した上で、運動を行った真意と実際にやってみて感じた課題について語った。

 郷原氏は先日の横浜市長選で、立憲民主党など野党が推す元大学教授の山中竹春氏(当選)と自民党の小此木八郎氏をターゲットに落選運動を展開。新聞風のチラシを自作し、ホームページで公開するなどツイッターやブログも駆使した。

 候補者を自発的に支援する“勝手連”という市民運動はあるが、落選運動は日本であまりなじみがないだけに、何をどこまでやっていいのか分からない人は多く、戸惑いの声もあった。

 郷原氏は「選挙期間中は確認団体として届け出をした団体の政治活動しか許されておらず、それ以外の団体の政治活動は選挙運動と区別がつかないということで禁止されています。しかし、個人で行う落選運動はできるのです」と説明した。

 確認団体とは選挙期間中に政治活動が認められた団体のことで、政党が届け出ていることが多い。また、特定の候補の当選などを目的にする選挙運動と政治活動は公選法では区別されており、落選運動は政治活動にあたる。

 つまり、落選運動は個人であれば選挙期間中もできるが、言い換えれば個人でしかできないとも言える。「個人は確認団体に比べて不利なんですよ。だからホームページにダウンロードしてもらえるようにチラシを載せて、あとは個人の自由で活用してくださいという形しかできませんでした。団体としては禁止なのを踏まえて、個人として合法的な活動を行ったのです」と力説した。

 作製したチラシを誰かが街中で配ることは可能なのか。「団体をつくって団体として配ったら規制に引っかかるが、個人として行われるのだったら構いません」。もちろん特定候補の陣営関係者が利用したら選挙運動になりかねないので、注意するよう警告を発していたという。

 当初は立候補表明していた郷原氏がどうして落選運動をすることになったのか。かなり早い段階で郷原氏は山中氏の候補者としての適格性を疑っていたという。

「立候補したら『自分が市長になるべきだ』と訴えることになるが、私としては一番言いたいことは菅支配がダメだということと、山中氏に問題があるのではないのかということでした。情報を有権者に伝えるために、市長を目指すよりも落選運動という形にした方が聞いてもらえるだろうと判断しました」

 出馬表明をした後に、山中氏の問題を指摘していた間は、ネガティブな見方も多く、ツイッターのフォロワーも減少気味だったが、出馬表明を撤回して落選運動に転換した後は、反響も多く、ツイッターのフォロワーも一気に増加したという。

 落選運動は今後の日本社会に根付くと思うかどうか。

「落選運動を、選挙期間中も団体として行うことが認められてもいいのではないか。こういう重要な選挙、特に首長選挙は選挙運動と落選運動がきちっと効果的に行われることによって、ふさわしい人が選ばれるべきだと思います」

 横浜市長選をきっかけに落選運動という言葉が広まったのは事実。次の衆院選でも行われるかもしれない。

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