衆院選で、自民党の麻生太郎財務相(74)が“麻生節”を連発し、物議を醸している。7日に札幌での応援演説で、社会保障費の増大を「高齢者が悪いというようなイメージをつくっている人が多いが、子供を産まないのが問題だ」と女性側に責任を押し付けたとも誤解される発言が問題視された。

 麻生氏の口が滑るのは今に始まった話ではないが、今回の衆院選では滑りっぱなしだ。5年前の政権交代選挙では罵声を浴びせられていたが、政権奪回後は財務相として、アベノミクスを切り盛り。全国に応援弁士で引っ張りだこで、5日の神奈川・相模原市内の街頭演説では「本物はキリッとしてカッコいい~」と、オバサマ方が黄色い声援で迎え入れた。

 麻生氏は「明らかに日本の景気は良くなっている。2年前より悪いと言っている人はほとんどいませんよ。いたら、よほど運が悪いか、経営能力がないだけ」と断言。

 さらに「消費税増税は2017年4月まで延期しますが、その時にこれだけ景気が良くなったから、もうちょっと上げてもいいかなと思ってもらえるようにするのが我々の使命」と、消費税を10%以上に引き上げたい財務省の本音もチラつかせた。

 これらも際どい発言だったが、聴衆は「麻生さんはハッキリものを言ってくれる」と拍手喝采。麻生氏も気を良くして、べらんめえ口調が日増しに弾んでいった先の「産まない発言」だった。

 野党側は麻生発言を反転攻勢の材料にしたい構えだが、麻生氏のキャラクターが浸透している現実もある。民主党の蓮舫元行政刷新担当相(47)は「麻生さんのいつもの失言ですよ。(産まないのが問題は)確かにそうでしょう。だからこそ安倍政権は女性の輝く社会を掲げていたのに自分たちの政策はどこかにいっている」と、あきれ気味で追及も手ぬるい。

 自民党圧勝の情勢をひっくり返すような逆風に発展する目は薄い。