同性愛をカミングアウトしている社民党の前東京・豊島区議の石川大我氏(40)が、衆院選(14日投開票)に比例単独で東京ブロックから出馬している。憲政史上初となるオープンゲイの国会議員が誕生するのか――。

「自民党や民主党など大きな政党が取り上げない小さなイシューで、困っている人たちはたくさんいる。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の差別撤廃やいろんなマイノリティー(少数派)の人たちの声を国会に届けるのが役割だと思っている」と訴えるのは、自らもゲイを公言している石川氏だ。

 昨年、社民党党首選に区議ながら出馬し、憲政史上初となる同性愛公言者の国政政党党首が誕生かと話題になった。国会議員ではレズビアンを公言していた民主党の尾辻かな子氏(39)が昨年、繰り上げで参院議員となったが、在職日数はわずか2か月で、ほとんど活動できなかった。石川氏が当選すればゲイ初の国会議員となる。

 電通総研調べでは、日本のLGBTの比率は20~59歳の男女で5・2%(12年)とされ、約20人に1人の計算。国際的にはアイスランドで同性愛者の首相が生まれ、オバマ米大統領(53)は同性婚を支持している。アップルのティム・クックCEO(54)が同性愛を公言するなど理解は進んでいるが、日本はいまだオープンとはいえない環境だけに、石川氏は改革の使命感に燃えている。

 選挙戦では“票田”となる東京・新宿2丁目に公示日の2日に街頭演説に繰り出したが「昼の2丁目はほとんど人がいない。住んでいる人も寝ている人が多い時間帯で、音を出すと逆に迷惑になってしまう」(石川氏)と、聖地ならではの事情にも直面した。

「東京ブロックでは、20万といわれる社民党の基礎票に、浮動票と予測できないLGBT票が加われば、当選の可能性はある」(永田町関係者)

 ネットを中心に支持も広がっており、石川氏は「壁をぶち破りたい」と手応えを感じている。