朝日新聞「慰安婦問題誤報訂正」なぜ今?

2014年08月08日 11時00分

朝日新聞の慰安婦問題記事

 朝日新聞が5日付の紙面で、従軍慰安婦をめぐり「強制連行」があったとした過去の一部報道を取り消した。自民党の石破茂幹事長は6日夜のBSフジ番組で、過去の報道の経緯を国会で検証すべきだとの考えを重ねて示すなど、問題は拡大している。朝日新聞による強制連行報道は、30年以上にわたり日本のイメージをおとしめてきたが、なぜいまになって大新聞がそれを取り消したのか? その答えはインターネットにあった。

 過去に慰安婦の強制連行を証言した、吉田清治氏(故人)の著書「私の戦争犯罪」については、発表当時から内容の信憑(ぴょう)性について疑問が多かった。その後、現代史家の秦郁彦氏による入念な取材で、フィクションであることが明らかになり吉田氏本人もそれを認めた。

 だが、内容の衝撃性もあいまって、「日本軍の慰安婦狩りに関する貴重な証言」として独り歩きし、1996年、国連人権委員会に報告された「女性への暴力特別報告」に関する報告書「クマラスワミ報告」にも引用されるなど、日本の名誉を著しく毀損してきた。
 韓国事情に詳しい文筆家の但馬オサム氏はこう指摘する。

「いわゆる慰安婦問題なるものの発火点が、この吉田本であり、それを国際問題にまで拡大したのが、朝日新聞でした。その朝日新聞が遅きに失したとはいえ、吉田氏のうそと自身の誤報を認めたのは大きいと思います」

「私の戦争犯罪」の一部を抜粋すると、こんな記述がある。

「『体格の大きい娘でないと、勤まらんぞ』と山田が大声で言うと、隊員たちは笑い声をあげて、端の女工から順番に、顔とからだつきを見つけて、慰安婦向きの娘を選びはじめた」「やせて幼い顔の娘が、大野に年を聞かれてはげしく泣きだした。大野は娘のうしろへまわって行って、家畜の牝の成熟を確かめるような目つきで、娘の腰を見て、『前へ出ろ』と言った」

 但馬氏は「吉田本をよく読むと、彼の個人的なサディズム妄想を軍隊と絡めたエロ小説かのようです。女狩りというのはそれこそサディズム小説の古典的パターンのひとつです。まるでポルノのような小説が“旧軍関係者の勇気ある告発”ともてはやされ、大手を振って出版されていた背景には、日本軍はすべて悪、日本と日本軍の悪事を告発することは善であり、進歩主義的かつ平和主義者の使命という、ゆがんだ空気が、1970~80年代の言論界を支配していた結果です」と語る。

 それにしても、朝日新聞が初めて吉田氏の記事を掲載したのは1982年9月で、記事を取り消すまで32年近くもかかった。

 すでに本紙も報じたが、誤報を認めた背景には朝日バッシングによる部数減が大きい。5日付の紙面で「一部の論壇やネット上に朝日捏造といういわれなき批判が起きている」と言及したが、前出の関係者によれば、論壇と並列に匿名のネットの声を挙げたことに驚いた者が多かったという。

「部数減が深刻で、朝日は急速にネット移行を進めている。新聞を読まない若者世代にアピール中ですが、実はネット上の調査で、朝日のイメージが“反日”“親中、親韓”と悪いため、そのイメージを払拭したい意向もあるようですね」(前出の関係者)

 最近ではネット上を中心に“韓流推し”を批判され、反日イメージを重ねられて凋落したフジテレビが記憶に新しい。ネットの声が大手メディアを食う時代が来たのか。