ウクライナで発生したマレーシア機撃墜事件の余波で、今秋に予定されているロシアのプーチン大統領(61)の来日は見送りとなる公算となってきたが、安倍晋三首相(59)は、ロシアへの制裁もお構いなしで強行招聘に出かねないという。


 マレーシア機の撃墜は、ロシアの支援を受けている親ロシア派勢力の誤射との見方が大勢だ。ロシアは3月のクリミア編入でG8から排除され、欧米諸国から制裁を受けている最中だけに、今後はさらなる非難や制裁強化が避けられない状況。そのため今秋で調整しているプーチン大統領の来日も政府や外務省内では難しいとの見通しを立てている。


 ところが、安倍首相は19日に地元の山口・下関での講演で「ロシアは責任ある国家として国際社会のさまざまな問題に建設的に関与してもらわなければならない。そのためにもプーチン大統領との対話を続けていく。一日も早い平和条約の締結に向けて粘り強く交渉を続けていく」とロシア寄りの発言で、来日の可能性を諦めていないフシがあるのだ。


「安倍首相は就任後、5回もプーチン大統領と首脳会談を重ね、北方領土返還への手応えをつかんでいる。北朝鮮拉致と北方領土は支持率回復どころか歴史に名を残し、長期政権への切り札になる。ロシア批判の国際世論が高まっても簡単にカードを捨てるワケにはいかない事情がある」(自民党関係者)


 対北朝鮮でも安倍政権は、拉致問題解決のために制裁を一部解除し、日米韓の連携にヒビを入れたばかりだ。


 11月に日本で世界サンボ大会が開催され、日ロ友好のプランも進めている。「サンボはロシアの国技で、プーチン大統領は国際連盟の名誉会長を務めている。安倍首相はプーチンと親交の深い森喜朗元首相を大会名誉会長に就任させ、スポーツ交流でも北方領土返還への雰囲気づくりを進めている。大会やプレイベントに何らかの形で、プーチンからのサプライズが期待されている」(永田町関係者)


 ロシアと同調する独自外交を展開すれば、国際世論の非難は避けられないが…。