ついに闘魂外交が永田町にも通じたのか。日本維新の会から分党する次世代の党のアントニオ猪木参院議員(71)が続ける闘魂外交について、ここにきて自民党議員らも認め始めた。14日、北朝鮮から猪木氏ら訪朝議員団が帰国。拉致問題に詳しいある自民党議員は「私はいいと思いますよ」と前向きな反応だ。これまでの反闘魂外交とは真逆の姿勢だ。

 昨年11月に訪朝したときは、国会の許可を得なかったと与野党からバッシングに遭った。懲罰委員会が開かれ、猪木氏に下されたのは登院停止30日という重い処分。与野党議員からは「猪木氏の訪朝に意味はない」「目的がよく分からない」など疑問が噴出した。

 ところが、明らかに風向きが変わった。前出の自民党議員は「拉致、核、ミサイルとそれぞれ動きがあるタイミングです。ここで独自の交流をしておくのはいいことではないか」と前向きな評価をする。8月30、31日には平壌で国際プロレス大会が行われる。「心から成功してほしいと思いますよ」と自民党議員はエールも送る。

 日本政府や自民党としては日朝協議が始まり、拉致問題では特別調査委員会を北朝鮮が設置したことから、日朝間の問題解決に自信がある状況ともいえる。「闘魂外交に左右されない」との自負から寛容になれるというのだ。

 訪朝議員団の一人、みんなの党の山田太郎参院議員(47)は「猪木外交はすごい。北朝鮮の人はみんな猪木氏を知っている。本名の猪木寛至さんで呼ばれている。我々も驚いた。北朝鮮でこれほど有名な人はいないんじゃないか」と舌を巻く。

 議員団はそれぞれ疑問を朝鮮労働党の姜錫柱(カン・ソクジュ)書記にぶつけたという。維新の石関貴史衆院議員(42)は「ミサイルの意図を聞いた。日本に向けたものではないと明確に言っていた」と強調した。

 猪木氏は議員団の反応に満足そうな表情で「元気があれば、日朝協議もうまくいく。1・2・3・ダー!」と気勢を上げていた。