政府、自民党が台風8号にスクランブル態勢で警戒に当たっている。セクハラやじ問題でも再調査を指示するなど、これまでの傲慢だった態度を改め、すっかり“別人”のような振る舞いだ。

 7月では過去最強とみられる台風8号に、気象庁は早々に特別警報を発表した。オオカミ少年になるのを恐れ、二の足を踏んできた特別警報だが、古屋圭司防災相(61)は「空振りを恐れず、積極的に自らの身を守る行動を取っていただきたい」と呼びかけた。

 台風対策に余念がないのは、13日に投開票を控える滋賀県知事選があるからだ。自民党推薦の元内閣官房参事官の小鑓隆史氏(47)と、元民主党衆院議員の三日月大造氏(43)の事実上の一騎打ちで、小鑓氏が当初リードしていたものの苦戦を強いられている。集団的自衛権の閣議決定や石原伸晃環境相(57)の「金目」失言、都議会や国会での自民党議員によるセクハラやじ問題で、瞬く間にソッポを向かれたためだ。

 自民党関係者は「安倍首相が外遊で不在の中、古屋防災相が米国出張を取りやめ、対応に当たっています。台風対策で国民に安心感を与えることで、政権にはプラス材料になる」と指摘する。

 安倍政権下では、昨年の伊豆大島での土石流災害や、今年の首都圏を襲った大雪などで対応が後手に回り「高支持率にあぐらをかき過ぎ」と危機管理で非難を浴びただけに、今回は万全に万全を期しているわけだ。

 三日月氏は、卒原発を掲げる嘉田由紀子滋賀県知事(64)がサポートしている。自民党にとっては、三日月氏に当選を許せば原発再稼働に支障をきたすことに加え、10、11月に予定される福島県、沖縄県知事選にも尾を引く。

 石破茂幹事長(57)は、やじ問題でも地方を含めた党所属全議員に注意喚起。うやむや決着させた都議会でも、他のやじ発言者を再調査させるなど支持率回復に必死だが、有権者の目に、こんな豹変ぶりがどう映るのだろうか。