緊急事態宣言「2週間程度」延長の方針も…専門家が指摘する“副作用”と課題

2021年03月04日 11時30分

菅義偉首相

 緊急事態宣言延長も――。菅義偉首相(72)は3日、1都3県に7日まで発令されている新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を2週間程度延長する方針を示した。5日午前に専門家らで構成する諮問委員会に政府方針を諮り、同日夜の政府対策本部で決定する予定だ。政府の方針に専門家は「延長せざるを得ないが、劇的に効果があるかは疑問」と指摘するとともに、コロナ禍の現状と先行きについて語った。

 菅首相は1都3県の状況を「極めて重要な局面」にあるとした上で、「病床が逼迫している。ギリギリの指標もある。国民の皆さんの命と暮らしを守るため、2週間程度の延長が必要と考えている。専門家、関係者の意見を伺った上で最終的に私自身が判断したい」と緊急事態宣言延長の方針を示した。

 延長の責任を追及され「まだ延長決定したわけではない。2週間程度必要ではないかという私の考え方です」と応じる一幕もあった。

 政府の方針について、医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「これまでの経緯を見ても、首都圏は一回解除するとすぐに拡大する傾向がある。首都圏を制限しないと日本全体に影響が及ぶことを考えると延長せざるを得なかった。基本的に政府は第4波は避けたいという思惑があるはずですし、次の波に警戒した部分もあるだろう」と語った。

 新規感染者の減少ペースが鈍化していることもあって、解除については東京都の小池百合子知事や埼玉県の大野元裕知事らも慎重な姿勢を示している。

 古本氏は「今回の第3波は首都圏全体というより、千葉県が多く、地域内格差があるのが特徴だった。とはいえ、感染予防を単独でやっても効果が薄いので、首都圏全体として動かなきゃならない。解除の延長も千葉の意向をくんで、やらざるを得なかったのだろう」と指摘した。

 一方、神戸市などで「変異株」による新規感染者が増加しているのも気がかりだ。菅首相は3日の参院予算委員会で解除の可否を巡り、感染者数や病床の逼迫具合に加え、変異株の状況も判断要素になるとしている。

 変異株について古本氏は「当初のものより感染力が強くなっていて、抑止しづらいといわれている。兵庫県で増えれば全国にどんどん広まって、首都圏の感染者の半分が変異株という事態も時間の問題。ワクチンがどれだけ効くのか、まだよく分かっていないし、効かないとなると第4波、第5波の危険性につながりかねない」と警戒する。

 それにしても、2週間程度の延長はどれほど効果的なのだろうか。

「自粛期間中に給付金を出したり、時短営業をさせたりしましたが、首都圏を見る限り、はっきり言って効果が薄かった。年度替わりの時期を迎えるし、国内全体でモノや人が動く。首都圏だけ自粛しても、感染抑止が鋭角に進むとは考えにくい。この後、2週間やっても急激な感染抑止にはつながらないのでは」と古本氏は疑問視。さらに、延長により「失業者が増大して、10万人を突破するのは間違いない。閉店や倒産、さらに言えば自殺者も増えるだろう」と“副作用”の大きさへの危惧の念も述べた。

 緊急事態宣言の効果はさほどなく、経済的なダメージは計り知れない。ドロ沼化した現状からの脱却を図りたいが、古本氏は「今は予防、いかにワクチンを全体に広めるかという話が主流だが、感染した時の治療の話がまったく出てこなくなっている。『ワクチンが万能だ』みたいになっているが、ワクチンは重症化しないようにするためのもの。ワクチンと治療をセットにしてこなかったから何回も波がきてしまう。それが課題」と分析した。

 効果的な対策を打ってこなかったツケは大きい。

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