理化学研究所の野依良治理事長(75)が19日、「小保方氏が懲戒解雇となったら再現実験に参加できない」と明言した。この日、自民党本部でSTAP細胞論文をめぐる現状について、国会議員や役人が議論。その場に野依氏も出席した。

 会合後、野依氏は記者団に「小保方氏に再現実験に参加してほしい気持ちは持っている。小保方氏がやらないと決着がつかないと思います」と話した。同論文で理研・小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の研究不正が認定された当時、小保方氏に対して野依氏は激怒し、懲戒解雇に積極的だとささやかれた。しかし、事情が変わってきている。

 理研では小保方氏の処分が話し合われている最中。「処分がいつになるかは、まだ分かりません。懲戒解雇とかになれば、実験に参加はできませんね」(野依氏)

 どういうことなのか。理研広報担当は「小保方が解雇となり、理研の職員の身分がなくなると、理研で行っている再現実験には参加できません。外部の人間として参加する特別な手続きがあるかどうかは今のところ確認できません」と説明。理研職員であることが実験参加の大前提だという。

 自民党関係者は「会合では小保方氏本人が再現実験に参加すべきだという声が多かったです。こういう状況になってくると、小保方氏を解雇にするなという考え方も出てくるでしょう。理研でも議論しているんじゃないですか」と指摘する。

 小保方氏は再現実験への参加を強く希望しており、理研に残りたいという趣旨のコメントをしたこともあった。第三者による改革委員会も下村博文文科相(60)も、小保方氏の実験参加を要請している。

 解雇やむなしだったはずが、周囲の“圧力”により解雇なしとなる可能性が出てきた。