離党は本気か――。民主党の前原誠司元代表(52)が日本維新の会との合流のため、離党をほのめかしている。前原氏は海江田万里代表(65)を「努力が足りない」と酷評。橋下徹共同代表(44)率いる維新と結いの党と新党結成を目指すべきとした。もしかなえられないなら自ら離党して新党に参加する覚悟があるという。民主党関係者は「前原氏の悪い癖。狙いは海江田降ろしだ」と指摘するが…。

 維新が分裂したことで政界再編が始まったかに見えるが、反応が鈍いのが民主党だ。

 業を煮やした前原氏が7日、口火を切った。「民主党に求心力が戻るというのは幻想だ。ほかの野党と『大きな家』を作ることが大事だ」と、このままでは国民の期待は民主党へ戻ってこないと明言した。

 しかし、民主党がほかの野党と一緒になるという話は聞こえてこない。前原氏は「野党に働いている遠心力を求心力に変えるためには、どう野党をまとめていくかの取り組みが必要だが、努力が足りなかったのではないか」と海江田代表の党運営を批判。同日、出演したテレビ番組では「(維新との合流は)100%」と話し、離党の覚悟をほのめかしたとのニュースが駆け巡っている。

「これは海江田代表に対する揺さぶり、脅しでしょう」と指摘するのは民主党関係者だ。

「前原氏と維新の合流はかなり以前から何度も出た話ですが、実現していない。前原氏としては、あくまで民主党内で主導権を握ることが目標で、そうなった上で野党再編をしたい。ヒラ議員の立場で離党しても、新党で存在感を出せません。離党の前に海江田代表に取って代わるという意思表示です」

 海江田代表の任期は来年9月まで。ところが党内では代表選前倒しが公然と話し合われている。先日、前原氏らが集団的自衛権の行使を限定的に認める「安全保障基本法草案」をまとめたのも、慎重派の海江田代表に対するけん制だった。

「海江田体制に不満を持つ議員はいて、任期を全うできるかは不透明です。引きずり降ろすだけなら、前原氏が有利でしょう」(前出の関係者)

 問題は前原氏が代表になれるかどうかだ。別の民主党関係者は「現在、ASKA事件に関係して大手人材派遣会社代表と安倍政権閣僚の関係が話題になっています。うちの議員が国会でも取り上げました。しかし、これはブーメランなんです。人材派遣会社代表と前原氏はじっこんの仲ですから」と明かす。前原氏の夫人が同社代表の秘書だったことは有名な話。前原氏にとってはマイナス材料だ。

“口だけ番長”とやゆされたこともある前原氏は、今回も口だけなのか…。