日本維新の会の分党がさまざまな人間模様をあらわにしている。所属議員らは、5日までに橋下徹共同代表(44)側につくか、石原慎太郎共同代表(81)側につくかの選択を迫られている。維新は衆参62人の議員がおり、橋下派約40人、石原派約20人と議員の色分けがされつつある。

 東西分裂といわれるが、きれいに東西で議員が分かれているわけではない。“姫の虎退治”で一度落選した片山虎之助参院議員(78)は、石原氏に近いとされたが、「参院で結いの党と統一会派を作った責任を感じている」と、橋下派入りをほのめかしている。橋下派はいずれ結いの党と合流予定で、いまさら抜けられないとの考えのようだ。

「石原さんには申し訳なくて、謝るしかないです」と話すのは“伝説のトレーダー”の異名を持つ経済評論家、藤巻健史参院議員(64)だ。

 藤巻氏は2013年の参院選の際に、石原氏から特別にかわいがってもらうほどのお気に入り的な存在だった。ところが、藤巻氏は橋下派に参加する意向だ。

「私は経済でいくしかない。アベノミクスは大失政で今年の末にでも破綻する。そのときに自民党、公明党とはなるべく離れていたい。そうでないと、今まで言ったことを全部撤回しないといけない。それは僕の信条として無理です」

 すでに石原氏には電話で橋下派に行くことを伝えたという。

「石原さんの外交や防衛に対する考えは僕も似ている。しかし、今の状況は外交・防衛だけでなく、経済もむちゃくちゃ大変。経済政策に僕の存在価値があると思う。石原さんのことは大好きだし、恩義は感じているけど、そういう判断で大阪の方に行くことに決めた。石原さんも分かってくれたと思う」

 橋下派は自民党に対抗するため野党再編を目指すが、石原派は自民党寄りとされる。藤巻氏のように苦しい決断をした議員は多い。