分党が決まった日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長(44)が29日、大阪市役所内で行われた定例会見で共同代表の石原慎太郎衆院議員(81)に感謝の言葉を述べた。
分党について橋下氏は「ケンカ別れじゃなくて、お互い思うところもあるから、それぞれの道を歩もうと。でも一致するところは、一致してやっていこうということで分党という形を取ります」と説明した。
「こういう形になったのは、トップである僕のマネジメント力量のなさが最大の要因」と卑下した。石原氏に対して常に持ち上げていた橋下氏の姿勢は分党が決まっても変わらなかった。
「石原さんと(維新の会を)やらさせてもらって、僕はいい部分しかない。僕は石原さんが好きですし、失礼ですけど、あれほど人間的に面白い人はいない。学ぶところも多くて、2人で話をさせていただければ時間なんて忘れるぐらい」と胸の内を素直に口にした。
一方、旧太陽系の議員に対してはチクリと一言、物申した。
合流前から内紛が取りざたされ、互いに「橋下はいらない」「石原さん以外はいらない」と発信し、ドロ沼に陥った。
結党前には京都で石原氏と平沼赳夫氏ら石原氏に近い人物と会談し、その場でも「石原さん以外とやりたくない」と直接、言ったこともあったという。
「東京サイドから先にケンカを売られた。そんなことまで言われてやりたくないですよと、しっかり言っておかないといけない。(京都でも)平沼さんも誰一人、僕に反論せずに黙ってのみ込んでくれた。というところで僕は全部、水に流れたもんだと、引きずってないと思っていた。それ以降、僕は一切、悪口はもちろん、批判的なことは言ってない。そこで、しこりが残っていたとすれば、僕の認識が甘かったところがあるかもしれない」とこぼした。
会見の終わりに橋下氏は「石原さんと夜、電話して、ちょっと1回、寝転がりながら酒でも飲みたいなという話をしてくれて、それが実現できなかったのが残念」と悔しそうな顔をした。
決別の話をしている際は終始、後悔が表情ににじみ出て「僕は石原さんのことが好き」と繰り返した橋下氏。その思いは届くことがなかった。