専門家が指摘する緊急事態宣言の「穴」 本来は年末に出すべきだったが… 

2021年01月05日 11時30分

菅首相

 菅義偉首相(72)が4日、東京都と埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県の緊急事態宣言再発令について「検討に入る」とし、今週中にも飲食店の営業時間短縮などを重視した同発令を行う可能性が出てきた。年末年始の飲食、外出の自粛が求められていた中、政府はこれまで動かず。東京都は昨年大みそかに、1日の新規感染者が1337人の過去最多を記録した。後手後手の政府の対応に、専門家からは厳しい声が上がった

 多くの人が仕事始めとなった4日、東京都の新規感染者数は月曜日最多の884人、重症者数も過去最多の108人となった。

 昨年大みそかに1337人の新規感染者が確認された衝撃は大きく、正月三が日の人出は各地で激減したものの、相変わらず街には人の流れができている。そんな状況で4日、菅政権が動いた。

 菅首相は首都圏1都3県について「(現在午後10時までの)飲食店の営業時間短縮の午後8時までの前倒しを要請した」とし、緊急事態宣言の再発令についても「国として検討に入る。限定的、集中的に行うことが効果的だと思っている」と明言。7日にも決定し、期間は1か月程度とする調整に入った。発令は同日中か8日となる見通しだ。

 これに先立ち2日、1都3県の知事は西村康稔経済再生担当相と面会し、政府に緊急事態宣言の発令を速やかに検討するよう要請。政府がこれに対応した形だ。

 だが、医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「本来は年末に出すべきだった」として、こう厳しい目を向ける。

「1都3県の知事の要請を受け、帳尻合わせのように政府が検討を始めた形。東京では昨年中に1日の新規感染者数が1000人超になると予測されていながら、何も手を打たなかったのは良くなかった。本来、緊急事態宣言は専門家の予測に基づいて感染拡大の前にやるべきなのに、ウイルスの感染拡大が予期される中で出すのは間違い。まさか大台の1000人になるのを予見できなかったわけではないでしょう。各知事の要請前、年末に緊急事態宣言を出して人の流れを止めるべきだった。仕事始めになり、人も物流も活発に始まったことで、より感染拡大するのは間違いない」

 さらに緊急事態宣言の再発令で問題になりそうなのが個々の飲食店の対応のばらつきだ。

 現在も、時短要請で午後10時までの営業時間となっているが「協力金はもらわないから従わない」と決めた店は、午後10時以降の営業を続けているのが実状だ。

 これに対し、政府は新型コロナ対策の特別措置法改正で、時短要請に応じない事業者に罰則を科す方針。改正案は18日に召集される通常国会に提出され、2月初旬の成立を目指すという。

 だが、飲食店関係者からは「協力金をもらっても焼け石に水。午後8時閉店では潰れる店がまた増えますよ」との悲鳴が上がる。

 古本氏も「罰金は効果的ではないのではないか。法律で決めても、経営が苦しい店は、罰金を払ってでも営業せざるを得ないというところも出てくるでしょう。しかも小規模の店舗が多く、客は密になりやすく、感染が広がることになるという悪循環が起きる。罰金よりも、そうした店がきちんと休業できるような補償などの、セーフティーネット付きの対策が必要」と指摘する。

 感染対策と経済対策が両輪であることは第1波の時から指摘されてきたが、特措法が“ザル法”にならねばいいが…。

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