国会議員が自ら“身を切る改革”として行ってきた議員歳費(給与)を2割カットした特例措置が、今月末に期限切れを迎える。

 国会議員の歳費は、2011年3月11日の東日本大震災の復興財源の確保と消費税率の引き上げに伴って国会議員が身を切る姿勢を示す必要があるとして、12年12月から2割の削減が行われていた。特例措置の期限切れが迫り各党は15日、今後の対応について話し合いを始めているが、調整はうまく進まない状況で先行き不透明な状態だ。

 日本維新の会は橋下徹共同代表(44)が、国会議員団が歳費を1割削減を検討しているとして、公約の「3割削減」を守らない場合は、議員団の切り離しも辞さないとするメールを国会議員団に送りけん制している。

 一方、結いの党の江田憲司代表(57)は15日の記者会見で、議員歳費を3割削減する議員立法の共同提出を日本維新に働き掛ける考えを示した。足並みが揃わないままだと、議員歳費は元の額に戻りそうだ。

 元自民党の国会議員は「各党から意見が出ていますが、手を触れないまま期限切れを迎えたいというのが本音なんです。消費税が導入されたばかりの国民の立場にしたら、釈然としないでしょうね」と語る。

 元の歳費に戻った場合、毎月175万5000円とボーナスを合わせて年間2106万円、他に毎月100万円、年間で1200万円の文書通信交通滞在費が個人口座に振り込まれる。歳費と文書通信交通滞在費を合わせると、年収3306万円、課税収入に換算して4500万円相当になるという。

「文書通信交通滞在費は非課税で使い道の報告もいりませんから、つかみ金です。この非課税の1200万円分は、削減する場合の議論となって良さそうなものです。来年秋には消費税率10%への再引き上げ日程が出ています。国民は国の財政状況や少子高齢化の進展を考えると今後もいろんな形で負担増を求められることになります」(同)

 消費税増税への理解を国民に理解されたかは別にして、目に見える「身を切る改革」はどこに消えたのか。