STAP細胞論文の不正を発表した理化学研究所が2日、自民党に調査結果を説明した。自民党関係者によると、理研が1日に発表した最終報告の説明に同党本部を訪れた野依良治理事長(75)ら理研関係者に対し、とりたてて厳しい追及はなかったという。これに立ち上がったのは、理研と因縁がある蓮舫参院議員(46)だ。

「『小保方さんの人格や人間性を否定するものではない』と理研側は繰り返していた。特定国立研究開発法人の指定については議論がなかった」(出席者)

 議員からは「マスコミの“理研VS小保方”という流れに引っ張られないように」「再発防止のためチェック体制をしっかりしてほしい」との注文があったくらいだった。理研の最終報告では論文に捏造(ねつぞう)と改ざんがあり、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)が1人で行ったと認定した。小保方氏は理研に不服申し立てを行う意向。文科省は、新設する特定国立研究開発法人(仮称)に理研を指定する法案の閣議決定を先送りする方向だ。

 自民党のボルテージが低いのには理由がある。アベノミクスの成長戦略のなかに科学技術イノベーションの促進がある。日本のイノベーションをけん引する理研は重要な存在であり、バッサリと切り捨てるわけにはいかないのだ。こうなると野党に理研の体質を追及してもらうしかない。

 民主党と理研は、過去に蓮舫氏と野依理事長が対立した。民主党政権で行われた事業仕分けでは理研も対象になった。
 スパコンことスーパーコンピューターがテーマになった時は、仕分け人の蓮舫氏が「2位じゃだめなんですか」と“迷ゼリフ”を放ち、野依氏は「歴史の法廷に立つ覚悟でやっているのか」と反論。その時は世間も理研に味方した。

 今回、蓮舫氏は理研の最終報告を受けて1日、「組織の問題点、改善策を講じることなく、一研究員の処分で済まそうとする理事長、組織の姿勢はどうか」とツイッターで怪気炎を吐いた。さらに「国民に説明することをせず、内部の論理でトカゲの尻尾切りで終わらせるように見られる処理の仕方はおかしい、と思う」と小保方氏だけに責任を負わせるやり方を批判した。

 民主党関係者は「仕分けで問題視されたのは理研のガバナンス(統治)です。例えば研究員の配偶者を高給でアシスタントにしていたケースがありました。今となってみれば『先見の明があった』と言われるんじゃないですか。野依さんの方が“歴史の法廷”に立たされていますしね」と胸を張る。

 確かに理研のチェック体制はずさんだった。元民主党関係者は「そうはいっても仕分けはいい結果が出なかったからね。先見の明とは違うよ」と苦笑。さすがに民主党の名誉回復とまではいかなそうだ。