佐藤優氏 検察の違法な情報漏洩で政局が作られることに危惧を覚える

2020年12月07日 16時00分

佐藤優氏

【マンデー激論:佐藤優】検察と政権の緊張が強まっている。

<安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を安倍氏側が補塡していた問題で、東京地検特捜部は、安倍氏の公設第1秘書で政治団体「安倍晋三後援会」の代表と事務担当者の2人を、政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴する方向で検討に入った。罰金刑となり正式裁判は開かれない見通しとなった。/関係者によると、立件対象は2016~19年の4年分とし、安倍氏側の補塡分を含む総費用(支出)と参加者の会費(収入)で計約3千万円の不記載を認定するとみられる。安倍氏の関与については本人の認識を聴いて最終判断する方針で、安倍氏の任意聴取を要請した>(4日、「朝日新聞デジタル」)。

 朝日新聞は、情報源を関係者としているが、これでは誰が情報源なのかはわからない。被疑者の不起訴もしくは起訴(そこには正式裁判が開かれない略式起訴も含まれる)を決定するのは検察官だけだ。検察が情報源であることは間違いない。

 しかし、朝日新聞が情報源を検察関係者と明示しないのには理由がある。検察官は一般職の国家公務員だ。国家公務員は守秘義務を負う。

<職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする>(国家公務員法第100条)。

 捜査情報は職務上知り得た秘密なのでこれをリーク(漏洩)することは違法行為だ。違法な情報漏洩によって、マスコミを通じて「安倍はケシカラン」というような追い風を作って、捜査をやりやすくするという手法は民主主義国の検察が取る手段ではない。

 菅義偉首相が検察を使って安倍前首相の影響力を削ごうとしていると解説する人がいるが、それは誤りだ。検察は政治に使われるようなヤワな組織ではないというプライドを検察官は強く持っている。

 だから、今度は菅首相や二階俊博自民党幹事長に近い吉川貴盛元農水大臣が養鶏業者から現金を受領したという疑惑をリークした。

 近く検察は吉川氏を逮捕し、収賄容疑で徹底した取り調べを行うであろう。「安倍も菅もまとめて整理してやる」というのが現場の検察官の感覚だと思う。検察による違法な情報漏洩によって政局が作られるような状態に筆者は強い危惧を覚える。

 2002年の鈴木宗男事件に連座し、東京地検特捜部に逮捕されたときに筆者に関して事実と異なるリークが検察から散々なされたことを思い出す。 

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