スマホ税導入の布石か ケータイ料金値下げ圧力の真の狙い

2020年12月02日 10時58分

「この機会に見直して」と訴えた加藤官房長官

ポピュリズムなのか、それともよからぬ魂胆があるのか――。日本政府が携帯電話会社への“料金値下げ圧力”を強めている。NTTドコモが主力ブランドでの値下げをするとの報道があったかと思えば、加藤勝信官房長官は「この機会に携帯料金を見直して」と異例の呼びかけをするなど、携帯料金をめぐる動きが慌ただしい。一方で、菅政権が値下げ強要をする背景には、スマホ税導入を狙っている?との見方がくすぶっている。

 携帯料金の値下げは、菅義偉首相が目玉政策に掲げているもので、気合が入っている。担当大臣である武田良太総務相は先月27日の会見で「コロナ禍における社会貢献が企業の大きな役割」との趣旨の話をし、コロナを持ち出して値下げを迫った。

 また、1日の会見で加藤官房長官は「この機会に自身の携帯料金プランや事業者の見直しをしていただきたい」と営業マンのように呼びかけた。

 こうした値下げ圧力に対しては「大臣が企業を恫喝して言うことを聞かせるのは政治ではない」(小沢一郎氏のツイッター)というように批判もある。一方で、携帯料金が下がれば経済的負担が軽くなるので、反対する国民は少ない。

 携帯会社の動きはどうか。NTTドコモが大手としては初めて主力ブランドで値下げをする方針との報道があった。KDDIとソフトバンクはすでにサブブランドでの値下げを発表していたが、政府に批判されていた。

 果たしてどうなるのか? ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ここまで圧力があれば各キャリアは料金を下げざるを得ない」と携帯料金は下がると予想した。

「しかし、契約の際に客をオプション攻めにして、料金は安くなったけど、いろいろ付いてそこそこの値段になったということにするのではないか。使い勝手も悪くなるでしょう。契約する側も勉強しないといけない」(井上氏)

 つまり、料金が下がれば質も下がるわけだ。

 それにしても政府が民間企業に値下げを迫る姿は異様に映る。狙いはどこにあるのか。

 井上氏は「携帯料金の値下げという政策は非常に分かりやすい。誰も反対しませんよ。言い換えればポピュリズムです。安倍前首相には『美しい国』がありましたが、菅首相にはそういった政治的な核がない。だから携帯料金値下げでアピールして、選挙で勝てるようにしたいのでしょう」と解説した。

 しかし、本当にそれだけかどうかは疑問だ。一部では「携帯料金を下げてからその分、スマホ税を導入するのではないか」という増税の布石との見方もくすぶっている。

 実は、スマホ税に似たものが過去にある。

 2014年には自民党の中で携帯電話税の議論が浮上し、世間の反感を買った。また、今年1月には総務省が携帯料金に上乗せして徴収するインターネット税を検討しているとの報道があり、総務省が否定に追われていた。

「スマホは契約の時点で消費税を払っています。そこから、さらにスマホ税として毎月の携帯料金から払うというのは、いくらなんでもやりすぎ。将来的にはスマホ税という話もあり得るかもしれませんが、今すぐには料金を下げて、税金を上げるということはないでしょう。やったら政権の支持は離れますよ」(井上氏)

 携帯料金が下がることを歓迎する人は多いが、結局、しわ寄せを食うのが利用者ならどうしようもない。

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