米大統領選最後の討論会 トランプ氏敗北なら〝Qアノン〟暴走で大混乱

2020年10月24日 05時14分

社会問題化するQアノン(ロイター)

 11月3日に実施される米大統領選で、共和党のドナルド・トランプ大統領(74)が敗北したら、米国は大混乱に陥りそうだ。トランプ氏は23日、民主党ジョー・バイデン前副大統領(77)と最後のテレビ討論会で激突。トランプ氏はバイデン氏の疑惑報道を問い詰め、バイデン氏はトランプ氏のコロナ対策を責める大バトル。世論調査ではバイデン氏が優勢とみられているが、トランプ氏には熱烈な信者〝Qアノン〟がいる。トランプ氏敗北となったら大暴走もある。

 米南部テネシー州ナッシュビルで行われた討論会は、どちらも決め手に欠ける印象だった。

 新型コロナウイルス対策について、バイデン氏は「これだけ多くの死の責任を負う者は、大統領にとどまるべきではない」とトランプ氏の無策を追及。トランプ氏は「感染拡大は私のせいではなく中国のせいだ」と言い張った。

 双方とも醜聞を抱えている。

 トランプ氏は過去15年間のうち10年分の所得税を払っていないと指摘されており、バイデン氏は「納税申告書をまったく開示していない」と挑発する。一方のバイデン氏には息子が外国企業への便宜供与疑惑にかかわっていると指摘されており、「事実なら汚職政治家だ」とトランプ氏を勢いづかせている。

 CNNの世論調査では討論会でバイデン氏が勝ったと答えた人が53%でトランプ氏の39%を上回った。全米支持率でも各種世論調査でバイデン氏の優勢が伝えられている。討論会で挽回できなかったトランプ氏は厳しいまま選挙戦最終盤に突入することになる。

「もしトランプ氏が負けたら、米国内は大混乱が起きると現地で指摘されています」と明かすのはITジャーナリストの井上トシユキ氏だ。その中心になるのがQアノンと呼ばれる集団だという。

 Qアノンは最近になって日本でも注目されるようになったので、聞いたことのある人はいるだろう。一体、何なのか。

 井上氏は「米国における『2ちゃんねる』のようなサイトで生まれました。『Q』というハンドルネームで『これは報じられていないことなんだけど…』とトランプ氏に都合のいい情報を書き込んでいた。陰謀論のようなもので、それを信じる人が増えて米国で問題視されています」と指摘した。

 言ってみれば陰謀論者の集まり。例えば前回の大統領選ではヒラリー・クリントン陣営の関係者が、ピザ店を舞台に人身売買や児童買春にかかわっているという〝ピザゲート〟と呼ばれる陰謀論が広まったが、Qアノンたちはそれを信じている。

「『悪い組織と戦うトランプ氏を応援しよう』という考えで、若い人たちの間で広まっています。日本でいうとネトウヨのイメージです」(井上氏)

 あまりの暴走ぶりに、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブではQアノン関連は削除されるなどの対応がとられるほどだ。だが、もしトランプ氏が敗北となればQアノンは黙っていないという。

「敗北後の話は米国ですでに指摘されています。Qアノンは選挙結果を受け入れず、不正選挙だと騒ぎ出すと。もう一度選挙をやるべきだと言い続けるのでしょう」(井上氏)

 不正選挙をブチ上げるのは陰謀論者の間ではよくある話だ。トランプ氏がいなくなったからといって、陰謀論から目が覚めるというものではないらしい。

「Qアノンはエリート嫌いという特徴があります。『エリートのせいで自分たちが割りを食っている』と思っていて、トランプ氏が敗北しても壊滅することはないと現地ではみられています。こうなると米国の行きつく先は分断しかありません」と井上氏。

 大方の予想通りの結果が出てもスンナリとはいかなそうだ。

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