「森友・自殺遺族訴訟」音声データ提出も“徹底無視” 国民の反発必至

2020年10月15日 11時31分

元上司の音声データを裁判所に提出した弁護団

「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(54=当時)が、決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、妻の雅子さん(49)が国と佐川宣寿元国税庁長官(62)に、計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が14日、大阪地裁で開かれた。原告側は俊夫さんの元上司が改ざんや国有地値引きの背景を雅子さんに語ったとする音声データを提出。メディアにも公開したが、国側は事実上、これを無視する方針で批判の声が上がりそうだ。

 原告側は俊夫さんが受けた心理的負荷の強度を立証したいとし、生前に残した改ざんの過程を記録したファイルやメモ、いわゆる“赤木ファイル”の提出を国に求めているが、国側は準備書面で回答を拒否。

 雅子さんはこの日の法廷で「私が訴訟を提起し、真実を知りたいと言ったのに『そんなこと知らなくていい』と回答を出した。お願いですから、私と夫の立場に立ってください。知らなくていいという言葉は、遺族の心を傷つける。私は真実を知りたいだけです。夫が自殺に追い込まれた具体的な経緯を説明してください」と切実に訴えた。

 さらに、原告側は俊夫さんの元上司が改ざんや国有地値引きの背景を、自殺の1年後の昨年3月、雅子さんに語ったとする音声データを提出。このデータをメディアに公開し、同日のニュースではその音声が流れた。

 元上司はその中で「初めから赤木さんは改ざんに抵抗し、涙を流していた」と明言。“赤木ファイル”についてもこう語っていた。

「検察がガサ入れ(家宅捜索)に来た時に、赤木さんから『きちっと整理してあるこれがあるんですけど、これも出していいですか』と聞かれた。パラッとだけ見た。うわ~、メッチャきれいに整理してあるわと。全部書いてあるやんと。何がどういう本省の指示かっていうこと。前の文書であるとか、修正後のやつであるとか、何回かやりとりをしたようなやつがファイリングされていて、きちっと整理されてある。われわれがどういう過程でやったかが全部分かる。なんか変な口ごもった話になったら申し訳ないですけど、もちろん(改ざんの)判断は佐川さんです」

 国有地の売却についても「確実に(ゴミの)撤去費用が8億になるかという確証が取れていない」と語り、これまで取り沙汰された安倍晋三前首相や昭恵夫人の関与については「あの人らに言われて減額するとかいうようなことは一切ない」と述べ、この問題で言葉が根付いた「忖度」を否定した。

 一方、国側は音声データで“赤木ファイル”の存在が再び浮上しても事実上無視する方針だ。

 加藤勝信官房長官は14日の会見で“赤木ファイル”の存在について回答せず「決裁文書の改ざんについては、一昨年の財務省の調査報告書に書かれている。事実関係が詳細に書かれ、関与した職員に対する厳正な処分もなされ、検察の捜査も行われ、結論は出ている」と、再調査する考えはない。

 原告側はこの音声データをもとに、改めて“赤木ファイル”の提出を求めており、地裁が今後、証拠採否を判断する。

 弁護団は「将来的には尋問等を踏まえて(訴訟に)影響があるかもしれない」と話す。ネット上では「これは重いデータ」との反応もみられ、国が無視すれば反発も招きかねない。