東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)が面白いことになってきた。立候補の意向を固めた細川護熙元首相(75)は“脱原発”で小泉純一郎元首相(72)と連携するとみられる。すべての話題をかっさらいそうなこのタッグに不安を抱いているのが、事実上の立候補宣言した本命・舛添要一元厚労相(65)だ。起死回生の策として自民党の小泉進次郎衆院議員(32)に応援を要請しようとしている。実現すれば、選挙は多いに盛り上がりそうだが…。
年末に猪瀬直樹前都知事(67)が辞職し、“ポスト猪瀬”の有力候補として名前が挙がってから舛添氏は都議会自民党の推薦を受け無所属で都知事選に出馬する準備を着々と進めている。一時は楽勝ムードとも伝えられたが、ここにきて細川氏が脱原発を掲げて小泉氏と連携する動きに大きなショックを受けている。
このタッグの選挙戦の争点は脱原発。舛添氏は「どなたが、どういう政策を挙げても自由なんで、何が争点になろうと、リーダーは全てのことに対応できなければリーダーではないので、(脱原発に)対応しますよ」と一見、余裕の表情を浮かべ話してみせてはいる。
だが、舛添氏に近い関係者は「無党派層の多くは6年後の東京五輪か、脱原発か争点の選択を迫られたら、後者を選ぶ可能性が高い。舛添は将来的には脱原発の流れに対応すると思います」というが、争点が脱原発の1点に絞られることには内心は不安だらけだという。
特に警戒感を示しているのは細川氏よりも小泉氏の存在。小泉氏は総理時代、郵政民営化選挙でテーマを1つに絞った「シングルイシュー選挙」を行い圧勝した実績があり、政界引退後も国民的な人気を誇っている。
さらに立候補を表明している元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)には、元東京都知事の石原慎太郎衆院議員(81)がついているのだ。話題という点からみれば、いくら舛添氏に知名度があっても小泉氏、石原氏を相手に無党派層の支持を得ようとしても太刀打ちできないことが予想される。
そこで舛添サイドは対抗手段として都議会自民党などを通じて小泉氏の息子、進次郎氏に応援弁士の要請を考えている。
「安倍首相にしても舛添が、脱原発の細川、小泉両氏に負けてしまうと、国会で野党に同じことを追及され苦しくなる。我々としては、小泉氏に対抗できる応援弁士は、息子の進次郎氏が最適だと考えている。毎月1度は被災地を訪問して被災者を激励するなど、復興大臣政務官として仕事もすばらしく、人気も高い。もちろん、選挙終盤戦は国会中ですが、安倍首相に応援してもらえるよう動きます」(舛添氏に近い関係者)
現在、外遊中の安倍晋三首相(59)は「エネルギー政策は東京都だけでなく、国民みんなの問題だ。都知事としての課題もバランスもよく議論されるべきだ」と話し、脱原発を主要な争点に想定することを強くけん制した。
安倍首相が細川氏と小泉氏の連携を警戒しているということは、進次郎氏を応援弁士にしたい舛添氏にとっては、なんとも心強い。親子バトルともなれば、東京だけでなく、日本中の注目を集める選挙戦となることは必至だ。
「父親の『反原発』に対して自分は自分と言っているのがいまの進次郎氏。内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官として、常に党本部の考え方を主軸としているので、応援に行けと言われれば行くでしょう。ただ、進次郎氏を駆り出せば、純一郎氏が余計にクローズアップされる状況にもなりかねない。そういう事態は自民党としては本意ではないでしょうから、応援弁士にするかどうか。それでも、純一郎氏に対抗できるのは進次郎氏だけとも言えますが…」(永田町関係者)
混沌としてきた都知事選。
果たして舛添氏は、小泉親子の激突を演出できのか。