菅新政権にNHKが戦々恐々なワケ かつて首相を「あの市議」呼ばわり

2020年09月18日 11時31分

東京・渋谷のNHK放送センター。囲み写真は菅首相(左)と立花氏

 やられたらやり返す。菅内閣が誕生し、菅義偉首相(71)は旗印に掲げた携帯電話料金の値下げや地方活性化、デジタル庁新設、規制改革などを推し進める。そうした中、戦々恐々としているのがNHKだという。会見では触れなかったが、菅首相はNHK改革・受信料問題をこれまでライフワークとしてきた。「省庁の縦割り打破」を掲げる菅内閣だが、改革はNHKにも及びそうな雲行きだ。

 菅首相は官房長官時代から携帯電話の料金値下げを訴え続け、業界側も渋々、受け入れていたが、首相就任とともにさらなる値下げを要求。新たに就任した武田良太総務相(52)は「納得感のある料金体系が求められている」と通告し、携帯大手各社は白旗を掲げるしかない状況だ。

 総務行政で、菅首相の肝いり案件は携帯料金の値下げだけではない。長年、NHK問題をテーマに掲げ、「内部改革」「受信料の値下げ」「受信料の義務化」を訴え続けるなど、NHKとはバトルを繰り広げてきた。

 2006年の第1次安倍内閣で総務相に就任した際、当時の橋本元一NHK会長に値下げを含めた同局の改革を要求。当時、国会議員でNHKに初めて真正面から切り込んだともいわれた。

「NHK内部では、菅さんが横浜市議上がりだったことから、(1996年に)国会議員になっても『市議さん』『市議のヤツ』『市議のレベルで』みたいな感じで、とにかくバカにしていたのは有名です」と話すのは、NHK元職員でNHKから国民を守る党の立花孝志党首(53)だ。

 総務相時にNHK改革を国会で取り上げたものの散々な扱いを受けた揚げ句、安倍1次内閣は1年の短命に終わった。それでも議論に火をつけ、NHKは12年に値上げ一方だった受信料を初めて、値下げに踏み切らざるを得なくなった。ただ義務化や内部改革には及び腰で、NHKと官邸による綱引きは現在も続いている。

 立花氏は「受信料が義務化されれば、NHKはお金が取りやすくなるから好都合に映るかもしれないが、それは勘違い。むしろ集金人の仕事や営業所がなくなって、人が減ってしまう。菅さんが言っている合理的な義務化で、受信料を払う人が増えれば、本来安くなるが、NHKは今のままが一番いいから義務化に反対するんです」と指摘する。

 くしくもNHK受信料の支払い拒否を公約に掲げるN国党が昨年の参院選で国政政党となったことで、NHK受信料問題は再びクローズアップされている。

 武田総務相は「国民が納得した形の受信料でないという声もたくさんある。衛星ラジオ(国際放送)のチャンネル数が多いとか、新しい放送局のコストだとか受信料徴収の営業コストとか問題点が指摘されているが、しっかりとフォローしていきたい。国民が納得し、愛されるNHKになってもらいたい」と所信を述べた。

 立花氏は「菅さんは『あの市議』と言われたのを相当、根に持っているでしょ。本気でNHKを改革しようとしているし、ウチにとってもプラスになる」と歓迎する。

 タイミングを同じにして、NHKは職員が集金活動で妨害を受けているとして、立花氏らに損害賠償を求めて提訴したが、立花氏は逆に「(違法行為をしている)集金人を待ち伏せして捕まえる」と“全面戦争”の構えだ。

 NHKからすれば、N国党台頭に苦虫をかみ潰していたところに、天敵ともいえる菅首相の誕生だ。「NHKは相当、焦っている」(立花氏)

 NHKは菅首相を過去にバカにしたことを悔やんでも今さら遅く、本格開戦は時間の問題。屈辱を受けた菅首相のリベンジが“倍返し”程度で済むかどうか。