歴史は繰り返す?「加藤の乱」から20年…自民党「石破の乱」の予感

2020年08月31日 14時00分

石破茂元幹事長

 歴史は繰り返す? 安倍晋三首相の辞意表明を受けて自民党は次の総裁選び一色となっている。出馬の意向を固めた菅義偉官房長官が、二階俊博幹事長率いる二階派の支持を取り付け一歩リード。一方、国民から人気のある石破茂元幹事長はどのように総裁選が行われるか慎重に見定めようとしている。党員投票を行わない「石破潰し」はやがて“乱”を招きかねない。

「党員が選んだという正統性がなければ、強力な政治を進める上でハンディになる」

 石破氏は30日、党滋賀県連大会に出席し、新総裁が党員や党友の投票を行わずに両院議員総会で決められそうな方針に異を唱えた。共同通信の最新世論調査では次期首相にふさわしい人物としてトップとなる34・3%を獲得し、14・3%で2位となった菅氏に倍以上の差をつけている。それだけに人気が反映されやすい党員・党友の投票は石破氏にとっては命綱でもある。

 しかし、党執行部は新型コロナウイルス対策のため政治的空白は作れないとして、国会議員と都道府県連代表各3人による投票で決めようとしている。自民党関係者は「ちゃんと総裁選をやった方が国民から支持されるのはみんな分かっている。それよりも『石破潰し』の方が大事なのか」と嘆息している。

 新総裁をめぐるこうした駆け引きは過去にもあった。2000年に病気で倒れた小渕恵三総裁から森喜朗総裁へバトンタッチした際にも、両院議員総会で決まっていたことを覚えている人はいるかもしれない。野党関係者は「実はこのとき首相の芽を潰されたのが加藤紘一氏でした。後に“加藤の乱”を起こした人です」と振り返った。

 加藤の乱とは森内閣時代の倒閣運動で、自民党の加藤氏らが野党の提出する内閣不信任案に同調しようとした一件のこと。加藤氏を止める谷垣禎一前総裁の「大将なんだから」発言は有名だ。乱が失敗に終わったこともまた有名だろう。

 加藤氏も石破氏と同じで国民からの人気は高かった。石破氏もまた加藤氏と同じように“潰し”に遭おうとしている。あの時と境遇は酷似している。

 前出の自民党関係者は「自民党がもっとボロボロで国民からの支持率が低かったら、このタイミングで石破氏もあり得たでしょう。選挙を考えれば、ほかの議員も人気者にすがりたいから。ただ、今はそこまでの状況ではないということ」と石破氏は我慢の時と説く。

 我慢できずに野党と協調して石破の乱を起こすことはあり得るか。「気の毒だが乱ができるほど石破氏のもとに人が集まらないでしょう。石破派は19人だっけ? 当時、加藤派は40人超えてたから」(前出の自民党関係者)

 まずは党内で人望を高めることが石破氏には必要なのかもしれない。