ふざけるな!河井被告夫妻 今も悠々自適 夏のボーナス計638万円支給

2020年08月26日 11時00分

河井案里被告と河井克行被告

 昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で公選法違反の罪に問われている前法相の河井克行被告(57)と妻で参院議員の案里被告(46)の初公判が25日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。夫妻は起訴内容を否認し、全面対決の姿勢。判決は年明けともいわれているが、国民はこの夫婦に怒り心頭だ。というのも、国会議員として活動できていないのに、いまだ歳費が支払われ続けているからだ。何とかならないものなのか。


 起訴状によると昨年3月下旬から8月上旬にかけて、河井被告は参院選の票の取りまとめを依頼する趣旨で地元議員100人に計約2900万円を渡し、案里被告も一部共謀していたとされる。河井夫妻は現金の供与はおおむね認めた上で、「票の取りまとめなどを求めたものではない」と買収の趣旨を否認している。

 争点は現金の手渡しに票を取りまとめる意図があったかどうか。検察は100人以上の証人を用意。なかには現金を受け取った地元議員らもいる。彼らは今のところ立件されない方針だ。河井被告の弁護人はその点を突いている。

 初公判で弁護人は「いわゆる裏取引として極めて違法性の高い捜査手法だ」と検察を批判。地元議員を刑事処分しない代わりに、検察に都合のいい証言をさせようという違法な司法取引があったのではないかと指摘し、公訴棄却を求めた。

 この「違法な司法取引」という主張が認められる余地はあるのか。

 元衆院議員の横粂勝仁弁護士は「荒唐無稽な主張ではありません。司法取引は対象犯罪が限られており、今回の公選法違反は対象ではありません。もし、司法取引をしていたら違法となります」と指摘する。

 とはいえ、いきなり公訴棄却で公判が終わってしまうことはなさそうだ。

 横粂氏は「公訴棄却が認められるのは厳しいでしょう。今回のことで司法取引“的”なことはあったかもしれませんが、断定は難しい」と公判は続行されるとみる。

 もっとも、被告弁護人らも覚悟の上だろう。本丸は120人にも及ぶという証人尋問だ。地元議員ら100人は検察の取り調べの時点で録音・録画をされていたという。「カネを受け取った議員らの刑事処分は検察のフリーハンドになっています。証人からすれば前言撤回しづらく、心理的に縛られていることになる。『やっぱり起訴する』と検察が言うかもしれないという心理的圧力はあり得る」(横粂氏)

 この証人たちが心理的圧力でウソをついていると法廷で証明できれば、被告の無罪もあり得る。もっとも120人すべての尋問でそう証明できないといけない。

 法廷闘争を繰り広げる一方で、河井夫妻には国民から怒りの声が数多く寄せられている。そのなかでもいまだに政治家をやめず、多額の歳費が支払われていることへの不満が大きい。夏のボーナスは2人で計638万円支払われたという。

 現在、国会議員の仕事をしていないが、月額約129万円(現在はコロナ対応のため約104万円に減額中)や各種経費も支払われている。冬のボーナスもある。これを停止または回収できないのかというのは国民の強い思いだろう。

 横粂氏は「結論から言うと歳費は取り戻せません」と、こう解説する。

「過去に法整備の議論はありましたが、推定無罪という原則に加え、政治家たちの『明日は我が身』という気持ちから、立ち消えになるのです。逮捕されたからといって支払われないルールはないし、返還のルールもない。(返還を求めて)訴えるルールもないのです」(横粂氏)

 河井夫妻が自ら議員辞職するか、現行法では執行猶予の付かない禁錮以上の刑が確定しない限り、任期満了まで歳費は支払われ続け、それを返還させる法律もない。