ネットに飛び交う「中国との開戦論」に待った!

2013年11月30日 16時00分

「待った」をかけた小川氏

 中国政府が東シナ海に防空識別圏を設定したことで、日中関係の緊張感が急激に高まっている。加えて26日には、米軍のB52戦略爆撃機2機が中国設定の同圏内を通告なしで飛行した。これについて日本政府は「日米間は引き続き緊密に連携していく」姿勢を示し、なにやら局地戦覚悟の空気さえ漂い始めた。ネット上でも「日中開戦もやむなし」などの強硬論が飛び交う。だが、そんな興奮ぶりに元外務省職員の小川修平氏(46)が「待った」をかけた――。

 中国の新しい防空識別圏に対し、安倍晋三首相(59)は「全く受け入れることはできない。自制を求める」と猛批判。米政府は中国に「地域の緊張を高める」と懸念を表明したばかりか、あえて爆撃機を飛ばし“威嚇”した。だが、中国は今後も全ての航空機を監視する方針を改めて表明した。

 こんな緊迫した状況にネット上では早くも「やれるもんならやってみろ!」「ぶっ殺す!」などと物騒な書き込みが相次いでいる。このままでは売り言葉に買い言葉、日中開戦となってしまいかねない。

 そんな中「安倍政権を信じてほしい」と呼びかけるのが小川氏だ。かつての同僚からの情報や自身の経験を元に、いたずらな開戦論に警鐘を鳴らしている。

「平和ボケになってはダメですが、ここで感情的になっては問題がややこしくなるだけ。中国の挑発に乗らず、冷静になるべきですね。不安になるのも分かりますけど」

 小川氏いわく、中国は建前では勇ましいことを言うものの、直ちに一線を超えるほどバカではない。日本政府も現在あらゆるルートを通じ中国と折衝を重ねているという。

「中国がやっていることは許されることではないですが、水面下では様々なやりとりを行っているし、外交ルートでは毎日懸命に協議を重ねているはず。外交は政府に任せて国民が緊張をあおってはいけない」

 だが、そうは言っても中国が少しずつにじり寄っているのも事実。「米国は日米安保条約をきちんと履行してくれるのか」「この次は沖縄は我が国の領土と言い出すのではないか」と不安は尽きない。いったいどうすればいいのか。

「安倍政権が優れているのは、確固たる安全保障の方向性が定まっていること。だからこそ、信じて任せるしかない。実は、中国には『韓国よりも文化的に成熟した日本をパートナーにすべき』という声だってある。それを私たちが騒ぎすぎると、政府の足を引っ張る可能性だってあるんですよ」

 小川氏によると、民主党から自民党に政権が移って、明らかに変わったことがあるという。それは“政府と官僚の一体感”だ。民主党政権時代は官僚は目の敵にされ、意思疎通もままならなかった。

「基本的に役所というのは政治家の言うことを聞くものなんです。しかし、民主党時代はその一体感が感じられず、官僚がやる気を失ったようだった。私が海外生活から戻ってくると『本当に日本はヤバイ』と思ったぐらいです。その点、安倍さんはちゃんとリーダーシップをとってるから、『ついていこう』という気持ちになっている」

 ここは事の推移を冷静に見守るべきなのかもしれない。

☆おがわ・しゅうへい=1967年8月25日生まれ。埼玉県出身。上智大学法学部卒。1991年から在インド大使館の派遣員を務めたのをはじめ、米国、フィリピン、アフガニスタンの大使館で大使館員を務める。2007年に外務省を退職。現在は栃木県の総合リゾート施設「うぐいすの森 ゴルフクラブ&ホテル馬頭」の運営会社の役員。趣味はサッカー観戦。