香港抗議デモ抑え込みの法制 自由を求め台湾への移民急増

2020年05月29日 16時00分

混乱が続く香港(ロイター)

 自由を愛する香港人は故郷を捨て台湾へ…。

 中国の第13期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議は28日、香港に国家安全法制を導入する方針を決定し、閉幕した。香港で共産党政権に批判的な言動の取り締まりに道を開く内容で、当地で続く抗議デモを抑え込む狙い。言論や集会の自由が制限される可能性が高く、高度の自治を保障する「一国二制度」は存続の危機に直面した。

 今後、全人代常務委員会が決定を踏まえて関連法を制定する。

 李克強首相は全人代閉幕後の記者会見で、同法制の導入は「一国二制度を長く持続させ、香港の繁栄と安定を守る」ためだと主張した。

 香港の実情について、ユーチューブチャンネル「ゆあチャン」で情報発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「現在、香港から台湾に移民し、台湾籍を取得する香港人が急増しています。今年1~3月の3か月間だけで、台湾籍を取得した香港人は600人に達しました」

 また、22日の全人代開幕時、香港に国家安全法制を導入することを審議すると発表していた。

 周氏は「香港メディアによるとこの日、香港のネット上では『台湾 移民』といった検索ワードが急浮上したといいます。香港を脱出して台湾へ移民することを想定し、ネットでその手続きなどを確認する香港人が大勢いたということでしょう」と言う。

 これに先立ち台湾の蔡英文総統は20日に政権2期目がスタート。演説で、蔡氏は中国の統一圧力を拒否する姿勢を明確にして「一国二制度」を受け入れないと強調した。

「蔡氏は24日には香港市民を援助していく方針を表明しており、台湾は今後、香港市民の受け入れを本格化していくとみられます。すでに香港の富裕層の一部は、台湾や海外に資産を移転させているそうで、中華圏は今後、さらなる混乱が予想されます。経済的に中華圏と深い関係を築いてきた日本も、これらの混乱は決して対岸の火事ではないのです」と指摘している。