「金正恩氏は健康のようだ」 米のあいまい談話に残る謎

2020年05月14日 16時00分

肥料工場を視察する正恩氏(朝鮮中央通信=ロイター)

 米国のオブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は12日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「健康のようだ」とする見解を示した。一時は重体説や死亡説まで流れた正恩氏について、ホワイトハウスが“生存確認”したのは初めて。

 正恩氏は先月の約3週間、公式の場から姿を消していたが、今月1日になって肥料工場の完成式典に出席。その際に撮られたとする写真を北朝鮮の国営メディアが公開し、正恩氏の健在ぶりを強調した。

 それでも、写真の正恩氏は別人だとする“影武者説”や“加工写真説”がネットを中心にささやかれた。そんな中、オブライエン氏はワシントンの記者団に「正恩氏は肥料工場に出かけ、テープカットをしている。恐らく健康だというのが我々の考えだ」と語った。

 米ブルームバーグ通信によると、同補佐官は写真の信ぴょう性について検証したかどうかについての言及を避け「諜報機関にとって北朝鮮は困難な相手だ」と述べるにとどまった。

 そもそも正恩氏の重体説や死亡説が流布したきっかけは、先月15日の祖父である金日成国家主席の誕生日を祝う重要な国家行事に出席しなかったことだ。

 その後も約3週間にわたり消息不明となったため、中国のSNSでは正恩氏が「視察中の地方で循環器系疾患で倒れたが、専属の医師団が緊張のあまり治療ができなかった。そこで急きょ、中国の医療チームが派遣された」「治療が遅れて脳死状態になった」などとのウワサが拡散した。

 英BBCによると、そんなウワサに信ぴょう性を与えたのが、韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」の報道だったという。同サイトは「正恩氏が心臓手術を受け、回復しつつある」と、ある消息筋の話を伝えたのだ。それを受けて欧米メディアも速報。中には米芸能サイト「TMZ」のように同氏の死亡を伝えた報道機関もあった。

 果たしてこの騒動が仕組まれたものだったのか、また、本当に正恩氏は健在なのか。ホワイトハウスのあいまいな対応を見る限り、謎は残ったままだ。