中国マル秘報告書の恐怖予告「米国との軍事衝突に備えよ」

2020年05月08日 16時00分

トランプ大統領(左)と習近平国家主席(ロイター)

 世界を覆うコロナ危機が米中戦争の引き金になるのか――。「新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中で反中感情が広がる中、米国との軍事衝突も起こり得る」とする恐怖の内部報告書を中国の諜報機関がまとめ、習近平国家主席ら国家指導部に提出したというのだ。まさに「戦時に備えよ!」とする機密文書の衝撃内容が明るみに出た。

 トランプ大統領は6日、ホワイトハウスで記者団に、新型コロナウイルスのパンデミックについて「真珠湾攻撃よりもひどい。ワールド・トレード・センタービル(9・11米国同時多発テロ)よりもひどい。米国史上、最悪の出来事だ」と話した。

 本紙既報のように、米国は新型コロナは「武漢の研究所が発生源」として、パンデミック被害の責任を追及する動きを起こそうとしている。

 そんな中、ロイター通信は今週、報告書を知る複数の消息筋の話としてその内容を報道した。

 記事によると、その内容は「反中感情は1989年の天安門事件以来、最悪となっている」とした上で「パンデミックが終息した後、米国を中心として反中国の波が訪れ、最悪の場合、米国との軍事衝突が勃発する可能性があり、それに備える必要がある」と警告しているという。

 報告書をまとめたのは、中国の諜報機関である国家安全部のシンクタンク「現代国際関係研究院」。ロイターは「報告書そのものは入手していないが、直接的に内容を知る複数の情報筋により明かされた」と説明した。

 ロイターが中国側に問い合わせたところ、同国外務省は「それに関連する情報はない」と文書で回答。また、国家安全部については非公開組織のため、内容確認はできなかったとし、同研究院からの返事はなかったとしている。

 この報告書がどの程度、中国の最高指導部の立場を反映するものなのか。また、同国の外交や安全保障にどう影響するのか。ロイターは判断できないとしている。

 ただ、その内容から「コロナ禍の反動はこれまで中国が進めてきた海外での戦略的投資や安全保障上の立ち位置を脅かすものとして、同政府が真剣にとらえていることだけは伝わってくる」と指摘した。

 そんな中、新型コロナの感染による死者が7万人を超え、経済破綻の危機が迫る米国では、今年11月の大統領選で再選を狙うものの苦境に立つトランプ大統領が中国批判をより一層強めている。

「新型コロナ感染の対応を初期段階で誤り、情報隠蔽したことでパンデミックにつながった」と怒り心頭なのだ。

 ワシントンの米政治専門紙ザ・ヒルによると、米国務省は問題の報告書については確認していないとしながらも「中国政府は研究者やジャーナリスト、市民の口封じをし、健康被害の危険性を高めるような偽情報を広めてきた」と痛烈に非難した。

 そんな中国に対してトランプ政権は新たな関税引き上げをちらつかせながら、さらに様々な報復措置を検討している。

 その一つが「世界の産業供給ネットワークから中国を排除する取り組み」だ。米国務省高官はロイターに「米国は数年前から中国への依存度の引き下げに取り組んできたが、現在こうした動きを加速している」と説明。政府機関が調達と製造を共に中国から他の地域に移すよう企業に働き掛ける方法を模索しているというのだ。

 米政府の別の当局者は「中国との取引に関連して存在していた懸念が、コロナ禍ですべて具現化した形になっており、破滅的な事態に向かう条件は整っている」と明かした。

 つまり、今後起きるかもしれない“不測の事態”に備え、米国も対中戦略を着々と進めているようだ。