中国 コロナ禍に乗じ海洋覇権狙いやりたい放題 頼みの米軍も異常事態

2020年04月23日 16時00分

新型コロナ感染者が増えるセオドア・ルーズベルト(ロイター)

 地球規模で広がったコロナ禍に乗じて中国の動きがキナくさくなっている――。インド洋と東シナ海、日本海を結ぶ“世界の大動脈”といわれ、地下資源の豊富さでも知られる南シナ海の海洋覇権をめぐり、中国による周辺諸国への挑発が加速している。海洋における挑発の対象には日本も含まれているから見逃せない。

 周辺国が領有権を主張する南シナ海の島に、新たな行政区を設置すると先週に発表した中国政府。南シナ海の西沙諸島とその海域を「西沙区」、南沙諸島とその海域の「南沙区」として2つの行政区を新設し、海南省三沙市の管轄下に置くという。

 実効支配を強める中国の露骨なやり方に、領有権を主張する各国は猛反発し、緊張が高まっている。

 西沙と南沙の両諸島の領有権を主張するベトナムの外務省は今週、「わが国の主権の侵害で強く抗議する。間違った決定の取り消しを求める」とし、中国側を非難した。

 南シナ海を巡っては4日、中国海警局の船がベトナムの漁船に体当たりし、沈没させるという事案が発生。アジア海域での中国の海洋進出拡大を警戒する米国のトランプ政権は、「深刻な懸念」を表明した。

 同じく領有権を争う南シナ海のマレーシア沖では今週、中国船が調査活動を始めたことが判明。中国による同国への圧力とみられ、米国は海軍艦艇2隻を同海域に派遣した。

 ロイター通信によると、中国自然資源省の調査船「海洋地質8号」が同海域に現れたのは今月16日ごろで、護衛とみられる中国船が同行している。

 この海域の近くではマレーシアの国営石油会社による資源開発が計画されている。報道は中国船がマレーシアの排他的経済水域(EEZ)でも活動しているもようだと伝えている。

 また、南沙諸島に最も近いフィリピンのデル・ロザリオ元外相は一連の中国の動きを強く非難。

「フィリピンやASEAN(東南アジア諸国連合)各国、ひいては国際社会全体を脅かす南シナ海での中国の不法かつ侵略的行為は、新型コロナによるパンデミックの隙を執拗に狙ったものだ」と語った。

 一方、南シナ海につながる東シナ海では、日本の尖閣諸島の沖合に中国海警局の船が出没。17日には4隻が、約1時間半にわたり日本の領海内に侵入。第11管区海上保安本部が領海に入らないよう再三警告し監視を続けた。海上保安庁によると、中国海警局の船による領海侵入は3月から倍増している。

 各国がパンデミック対策に追われる中での中国の挑発行動。その大きな理由は中国の動きをけん制するはずの米海軍が異常事態に陥ったことだ。原子力空母で相次いで新型コロナ感染が広がり、軍事能力がそがれたことで中国の足かせが外れたのだ。

 米海軍は先週、主力空母「セオドア・ルーズベルト」で、乗組員約4800人のうち585人が新型コロナに感染したと発表。同空母が停留を強いられる中、別の原子力空母3隻でも感染が伝えられたのだ。

 日米両国は「力の空白」を生まぬよう、共同訓練などで存在感を誇示するというが、パンデミックに終わりが見えない今、中国のやりたい放題は止まらない。