「国民一律10万円」安倍首相決断に落とし穴 昭恵夫人への支給に不満の声

2020年04月17日 16時00分

所得制限を設けず全国民に一律10万円を給付すると決断した安倍首相(ロイター)

 一歩間違えば政治問題になりかねない!? 安倍晋三首相は16日、新型コロナウイルス対策として所得制限を設けずに全国民に一律10万円を給付する方針を固めた。条件が厳し過ぎて受け取れる人が少ないと不評だった収入の減った世帯に30万円を給付する案は取り下げる。この決断に「ありがてぇ」「10万もらったら何買おう」などと国民の大半は大喜び。多くの人が「お肉券」などではなく、すぐ使える現金を求めていただけに、おおむね好評だが、思わぬ落とし穴が――。

 当初、政府内では一律給付に否定的な意見が多かった。しかし、連立与党を組む公明党が粘りを見せて押し切った。

 自民党関係者は「年金暮らしの高齢者は、30万円給付対象から外されていた。それで公明党は、所得制限を外した10万円の給付を高齢者向けのコロナ対策としたかった。大半の自民党衆院議員は、選挙区で公明党に応援してもらわないと勝てないのが実情で、安倍首相も押し切られた格好です」と明かす。

 収入減世帯への30万円から一律10万円に組み替える補正予算案の国会提出は27日になる見込み。成立は5月1日になりそうだ。10万円の給付は早ければ5月中にもあるかもしれないという。

 しかし、「10万円給付は、政府が国民全員に郵送で通知します。全員分の封筒を印刷会社に発注後、各自の口座を記載する書類を作成。地方自治体職員が封入し郵送。各自に届いたら、金融機関口座を記載して役所へ返送か窓口に出向き、入金手続きできる運び。振り込み開始は早くても夏以降。遅いところでは半年後かも」(同)との話もある。

 いずれにせよ、安倍首相の決断に「国民、そして私たち党内の声が、やっと届いた!」(三原じゅん子参院議員)と自民党内からも歓迎の声が上がっている。

 コロナ対策では失態しか見せていなかった安倍内閣が、浮上するきっかけになるかもしれない。

 だが、事はそう簡単ではない。かつて麻生政権時代の2009年にバラまかれた1万2000円の定額給付金のときに起きた問題に再び直面しかねないのだ。

 当時を知る関係者は「あの時、麻生太郎首相は収入が高いのに1万2000円を受け取ろうという人を『さもしい』と表現して批判されました。金持ちである自身については受け取らないと話していたのです。ところが後日、景気刺激策になるとして自分も受け取って地元で使いたいと方針を変えたのです」と振り返った。リーマンショック翌年の定額給付金が、生活支援なのか景気刺激策なのかはっきりしてなかったことで方針がブレたという。

 同じように安倍首相が10万円を受け取るのかどうかという問題も当然出てくる。返答次第では、せっかくのいいムードに水を差しかねない。

 というのも7日の記者会見で一律給付に触れたときは「例えば私たち国会議員や国家公務員はこの状況でも影響を全然受けていない。収入に影響を受けていないわけです」との言い方で一律給付の必要性を否定。

 この発言にコロナの影響を受けている多くの国民がカチンときたようで、ネットでは「国民をバカにしてんのか」と大バッシング。一律給付に関して、すでに失言の前科があるのだ。

 17日夕方に行う記者会見で見解を示すと思われるが、麻生氏のように迷走したら印象は悪くなる。10万円の目的をしっかり決めて、返答がブレないようにしないと、国民の怒りを買い、野党がまたまた大騒ぎする政治問題となりかねない。

 また、一律給付ということは、昭恵夫人にも10万円が渡るということになる。昭恵夫人は自粛が叫ばれる中で花見をしたり、首相が「警戒を緩めることはできない」と話した次の日に大分旅行に出かけたりと、コロナ禍にあってもKYそのもの。

 ツイッターでは「また旅行に行くんじゃないか」「昭恵さんに10万円が支給されるのは納得いかない」とささやかれている。何かをしでかすのは火を見るより明らか。

 別の永田町関係者は「昭恵夫人の行動は読めません。誰も止められないのではないか」とあきらめ顔だ。

 このところ下降傾向の内閣支持率を再浮上させる材料なのに、安倍首相と昭恵夫人の言動いかんで、思わぬ落とし穴に転落する恐れがありそうだ。