恐怖「トランプ感染」疑惑 面談ブラジル広報長官が訪米後に陽性 五輪延期発言との関係は

2020年03月13日 16時00分

トランプ氏(ロイター)

 まさかの接触情報だ。トランプ米大統領が面会したブラジル政府当局者が、新型コロナウイルスに感染していたことが同国政府の発表などで明らかになった。政府当局者とトランプ氏はともに食事をするなどしていた。ホワイトハウスは感染疑惑の打ち消しに懸命。一方でトランプ氏は「東京五輪は1年延期すべき」との考えを表明しており、予測不能で知られる世界最高権力者に今回の接触問題がどのような影響を及ぼすのか世界から注視される。

 12日にブラジル政府が発表した内容は、大統領府のバインガルテン広報担当長官の新型コロナウイルス感染が確認されたこと。長官は今月初め、ボルソナロ大統領に同行して訪米し、トランプ大統領やペンス副大統領と記念撮影していた。米ホワイトハウスは接触は限定的で、トランプ氏らが検査を受ける必要はないと主張している。

 トランプ氏は12日、ホワイトハウスで記者団に「彼とは隣に座って長い時間を過ごしたが(自身の感染は)心配していない」と強調した。一方、グリシャム大統領報道官は声明で「トランプ氏、ペンス氏とも感染者とはほとんど接触していない。隔離が必要なのは感染者と濃厚接触した人だけだ」と主張し、感染疑惑の打ち消しに躍起となっている。

 長官は7日に米南部フロリダ州にあるトランプ氏の別荘マールアラーゴをブラジル政府代表団の一員として訪れ、トランプ氏と食事も共にした。インフルエンザのような症状が出て、帰国後の検査で感染が確認された。

 この接触についてはブラジル側の発表前に一部で報じられており、長官は11日、「腐った連中がばかげたことを言っているが、私は元気だ」とツイッターに書き込んだばかりだった。ボルソナロ氏は感染の有無を検査するとともに、12日に予定されていた地方出張を取りやめた。

 世界で広がる新型コロナウイルスの感染について、当初は楽観的だったトランプ氏だが、意に反して米国でも急速に拡大した。日本時間6日に215人だった感染者数は同12日時点で1257人に。死者も14人から37人に増えた。ついには現地時間の11日、英国を除く欧州からの入国を13日から30日間停止するという策に打って出た。

 それでも世間の不安は静まらず、12日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は暴落し、前日比2352・60ドル安と過去最大の下落幅で取引を終えた。下落率9・99%は1987年10月の大暴落「ブラックマンデー」(同22・61%)以来の大きな下げ幅に。コロナ対策に待ったなしの状況下で、トランプ氏の口から出たのは“東京五輪延期”の言葉だ。

「東京五輪は1年延期すべきかもしれない」とホワイトハウスで報道陣に語った。最終的には日本が判断することだとしながら「無観客で行うよりは良い選択だ」。

 訪日時に五輪施設を見学したことにも触れ、「日本は素晴らしい施設を準備している」と開催に向けた日本の努力をたたえた。

 今回、トランプ氏が開催延期に言及するのは初めて。2月26日の記者会見では、東京五輪への影響について、「問題が起きないといい」と語り、予定通りの開催を望む立場を示していたが、前述のような米国での感染拡大や、自身も感染の危険にさらされたことで、一気に「延期」へ針が振れたのかもしれない。

 東京五輪を巡っては主催の国際オリンピック委員会(IOC)や運営にあたる大会組織委員会の有力者から、中止や延期の可能性を示唆する“不規則発言”も聞かれる。IOCや組織委の本体は予定通りの開催を強調しているが、日本のテレビ番組では「感染の状況次第」だとして、日本への入国が難しくなる事態も考えられるといった指摘も。

 米国文化を象徴する劇場街ブロードウェーは、12日から興行を全面的に中止する。代表都市ニューヨークでは、メトロポリタン美術館が当面閉鎖となり、本部を置く国連のイベントも重要会合を除き中止が決まった。野球のメジャーリーグなどスポーツも中断や延期の発表が続々。

 五輪、スポーツは政治からの独立が大原則。とはいえ、米国の状況次第では、予測不能な大統領の言動が東京五輪を振り回すことも考えられなくもない…。