新旧首相「遺恨バトル」再び 後手後手コロナ対応を追及

2020年03月05日 16時00分

過去安倍首相にコキ下ろされた菅元首相

 新型コロナウイルスの日本国内の感染者数がついに4日、1000人を超え、国家的危機を前に新旧首相が“遺恨再戦”となりそうだ。対応が後手に回る安倍晋三首相は小中高の一斉臨時休校を要請して巻き返しを図ったが評価は芳しくない。これに、東日本大震災当時に首相だった菅直人氏はツイッターで「独断で決めたのか」と批判した。2人は名誉毀損裁判で最高裁まで争ったほどの因縁の間柄。かつてコキ下ろした菅氏の反撃を許した安倍首相も「結局は同レベル」との評価になりかねない!?

 安倍首相が要請した一斉休校が始まったのは2日のこと。文部科学省の調査によると、休校している市区町村立小学校が98・8%に上るなど、ほとんどの学校が要請通りに休校になっている。

 一方、休校を見送る方針を示している公立小中高校と都道府県立特別支援学校は栃木、群馬、埼玉、京都、兵庫、岡山、島根、沖縄の8府県、計339校に上った。栃木県茂木町は町立小中学校5校で10日から予定していた臨時休校を取りやめた。休校すると放課後児童クラブ(学童保育)の受け入れ人数が増え、逆に感染が懸念されると判断した。

 物議を醸す安倍首相の休校要請にかみついているのが菅元首相だ。ツイッターで「安倍総理の一斉休校の要請に学校をはじめ日本中が大混乱に陥っています」「問題はどういう理由で総理が一斉休校を決めたのかだ。感染拡大を抑える効果があると考えて踏み切ったのか、それとも『コロナウイルス対策が後手に回った』との批判に慌てて、指導力を誇示するために独断で決めたのか」(ともに2月29日)と安倍首相の決断に疑問を投げかけている。

 この2人には因縁浅からぬものがある。

 2011年の東日本大震災時に首相だった菅氏は、東京電力福島第1原発や同社に乗り込んだことや「僕は原子力に詳しい」と話したことなど諸々の言動で、猛バッシングを受けていた。

 とりわけ、原子炉への海水注入をめぐっては、菅氏と安倍首相でバトルも起きた。

 11年5月、野党議員だった安倍首相はメルマガで「菅総理が東電に海水注入をやめさせていながら『海水注入は菅総理の英断』とのうそを側近が新聞、テレビにばらまいた」と指摘。これに菅氏が名誉毀損だと訴え、最高裁まで争った結果、菅氏の敗訴に終わった。

 現実には海水注入は中断されていなかったのだから、安倍首相のメルマガはフェイクニュースなのだが、名誉毀損ではないと認められたのだ。

 震災とウイルスという国家的危機に、それぞれ立ち向かった2人の首相となるが、その評価は今後、「たいして変わらない」モノになるかもしれない。

 安倍首相は憲政史上最長在任の首相で、国のトップとしての経験は豊富。にもかかわらず、新型コロナ対策で後手後手と批判を受けている。

 安倍首相は4日、野党5党首と国会内で個別に会談し、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた新型インフルエンザ等対策特別措置法改正への協力を要請し、13日の成立を目指している。

 施行されれば、政府は私権制限を伴う緊急事態宣言を出せる。首相はその場合、対象地域や期間を限定する考えを示した。緊急事態宣言が出されると、都道府県知事は外出自粛や学校の休校、興行施設の利用制限などを要請できる。

 政府関係者からも「安倍内閣が有事にこんな体たらくだとは想像もしていませんでした」と嘆く声が上がったが、いまや多くの国民の実感と同じではないか。

「クルーズ船の対応をはじめとする水際対策の失敗や検査態勢の不満、不足するマスク、消毒液、休業補償など、国民の不満と不安が全国に広がっている。当然、その矛先は安倍首相に向かうことになるでしょう」(永田町関係者)

 一方、菅氏の安倍政権批判には、SNSを中心に支持する声まで上がっている。

 もっとも「菅氏が東日本大震災で頑張っていたのはその通りですが“イラ菅”といわれる短気さでひどい目に遭った人も多かった」(旧民主党関係者)と、現段階で拙速な再評価は時期尚早ではあるのは間違いない。

 とはいえ、それだけ安倍政権にがっかりしている人が多いのも事実。菅氏と同レベルの「ダメ首相」として歴史に名を刻まないよう、危機に対応しなければ、国民の怒りはさらに爆発しかねない。