旅客機撃墜イラン認めても真相は闇 兵士処刑で幕が中東のスタンダード

2020年01月12日 16時00分

 潔く認めたワケは? 8日にイランの首都テヘラン近郊で墜落したウクライナ国際航空の旅客機について、イラン軍は11日になって、ミサイルを誤射して撃墜したと認めた。

 当初、イラン側は墜落は旅客機の技術的トラブルと主張していたが、これを撤回。ロウハニ大統領はツイッターで「イランは悲惨な過ちを深く悔やんでいる」と遺憾の意を表明した。

 地元メディアによると、ウクライナ機がイランの革命防衛隊の重要施設付近を航行するのをレーダーが探知し、防空システムの操作者が巡航ミサイルと誤認したという。ザリフ外相は「米国の冒険主義で高まった緊張の中でのミス」と投稿し、根本の原因は米国にあると主張した。

 誤射を認めた背景について軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「米国の軍事衛星は証拠を押さえているし、撃墜の瞬間を収めた動画があれだけ出回れば、でっち上げるのは無理。故意ではなく、人為的ミスである可能性が高いので、『ごめんなさい』で乗り切れると考えたのだろう」と推察する。

 一方で“軍事機密”は死守する。黒井氏によれば「なぜ人為的ミスが起きたのか。軍部はどう動いていたのか。こうした機密は絶対に明かされない」という。撃墜により乗客・乗員計176人全員が死亡。実際に撃ち落としてしまった兵士はどうなるのか?「処刑されるでしょう。これは口封じの意味もあります。そして処刑されたことは公表されません」(同)

 2018年10月、同じ中東のサウジアラビアで政府に批判的だったジャーナリストのジャマル・カショギ氏がトルコのサウジアラビア総領事館内で殺害された。事件に関わったのは15人で、先月、殺害を実行した5人に死刑判決が下された。殺害を計画したのは同国トップのムハンマド皇太子とも言われているが、結局、殺し屋だけが“口封じ”で消され、幕引きとなった。

 これが中東のスタンダード。今回の誤射も真相究明は難しそうだ。