GSOMIAが発端 日韓“謝罪騒動”の逆転現象

2019年11月27日 16時10分

 日韓は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効を土壇場で回避したが、その両国で“謝罪騒動”が起きている。同協定の失効回避に絡んで経産省が行った貿易管理に関する発表などに関し、「日本側が合意内容を歪曲して発表し、日本政府が謝罪した」と韓国が主張。これに対して菅義偉官房長官は「政府として謝罪した事実はない」と否定している。「謝罪した」「謝罪してない」…何かが決まっても、韓国との間ではすっきりした決着にならない。専門家が韓国とのトラブルを斬った。

 河野太郎防衛相は26日の記者会見で、GSOMIAを巡る韓国側の破棄通告の効力停止は一時的なものだとの認識を改めて示した。

「韓国の外交、国防当局はGSOMIAの必要性を十分に理解している。協定の本則に基づいた安定した状況になるよう韓国側に賢明な対応を期待したい」
 協定延長に関して「両国の合意があればさまざまなことが可能だ」と河野氏は強調。韓国側の決定次第で再び破棄される可能性があるとした。

 韓国側の決定に影響を及ぼしかねないのが、現在トラブルになっている「謝罪した」「謝罪してない」との騒動だ。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏はこう語る。

「面白いですね。日本はこれまで慰安婦問題をはじめとして、韓国に歴史を絡めて『謝罪しろ』と難癖をつけられるたびに『すでに謝罪した』と言ってその場を取りつくろおうとしてきましたが、今回は韓国が『日本が謝罪した』と言い、日本がそれを強く否定している。今までと逆の構図です」

 韓国が日本の謝罪にこだわるのは、GSOMIA破棄断念で高まる国内の反文在寅政権ムードを鎮静させるためだろう。つまり、韓国としては「あくまで正義はこちらにある」「GSOMIA破棄延期は、こちらが与えてやったのだ」ということで名分を保とうとしているわけだ。

 但馬氏は「同じく韓国の報道を見ますと『(GSOMIA破棄の)条件付き延期』という言葉が目立ちます。これは、『日本がまた不埒(ふらち)なことをすれば、いつでもまたGSOMIA破棄を突き付けてやることができる』ということらしい」と言う。

 つまり、「外交カードは韓国にある」と言いたいのだ。

 しかし、そんな脅しをすれば、破棄の阻止に動いた米国が黙っていないことは韓国も承知なはずで、外交的敗北を隠すための国内向けの言い訳だろう。
「これまで韓国に対しては、安易な謝罪で余計に問題をややこしくさせてきた日本もようやく学習したといいますか、かの国に対する対処法を覚えたようです。どちらにしろ、GSOMIA騒動で、日韓関係は完全に潮目が変わったと言えそうです」(同)

 また、注目すべきは、今回の騒動で安倍晋三首相が表立って何も動いていないことだ。但馬氏は「韓国側が輸出規制強化などの見直しをGSOMIA破棄撤回の交換条件にもってきても、それとこれとは別の問題と無視を決め込みました。安倍政権が韓国に言ってきたのは『国家間の約束は守れ』『武器転用物質の横流し疑惑に関して納得のいく回答をせよ』の2点だけでした。あとは叱りつける役をアメリカがやってくれたわけです」と言う。GSOMIA破棄通告をしておいて、ぎりぎりで回避。韓国で文大統領は「日本に屈服した大統領」扱いで、レームダック化している。

「歴代韓国大統領は、低迷した支持率を上げる際に決まって反日を利用してきました。しかし、このたびの安倍首相の韓国スルーおよび、韓国の外交自滅で、今後、反日カードも使えなくなってしまったのです」と但馬氏。

 実際、韓国国民の間からも「意味のない対日不買運動はやめよう」「日本と敵対するより、パートナーシップを築く方が国益にかなう」という具合に、明らかに“反日疲れ”の様子が見えている。