息子事情聴取で“玉ねぎ男”捜査秒読み 裏に韓国親北派の内ゲバ

2019年09月26日 16時00分

 韓国の文在寅大統領(66)の最側近で、法相に就任したばかりの疑惑に満ちた“玉ねぎ男”ことチョ・グク氏(54)を巡る新たな疑惑で25日、韓国メディアはソウル中央地検がチョ氏の息子を24日に事情聴取したと報じた。チョ氏本人に捜査の手が及ぶのも秒読み段階で、専門家は背後に潜む北朝鮮と複雑な左派勢力の権力闘争事情を指摘した。

 チョ氏の20代の息子は偽造されたインターンシップ証明書の発給を受け、大学院の入試に活用した疑いがもたれている。チョ氏の周辺では、娘の大学不正入学疑惑で妻が在宅起訴、娘が事情聴取され、親族による私募ファンドの背任、横領容疑では、親戚の男が既に逮捕されている。検察の本丸はソウ氏本人とみられ、王手がかかったともいえる。

 元韓国国防省北朝鮮分析官で、拓殖大学主任研究員の高永チョル氏は、検察当局トップで捜査の指揮を執る尹錫悦検事総長が強硬に動いている事情をこう指摘する。

「尹検事総長はチョ氏に相当な不平不満を持っています。韓国の法曹界は軍部以上に年功序列社会。チョ氏は尹氏より4つも年下で、さらに司法試験にも合格していない。そんな人がトップの法相に任命され“検察改革”なんて言ってることに尹氏以下、検事たちは猛反発しています。またここまで捜査の手を伸ばしている以上、チョ氏本人の逮捕まで行かなければ、逆に自分たちの身が危なくなる。検察は命がけで捜査している」

 チョ氏の疑惑が深まれば深まるほど文政権の支持率は下落し、来年4月の総選挙まで持つかどうかも怪しい状況になっている。チョ氏の疑惑を契機に事態が文政権の倒閣運動に発展した背景には韓国の左派勢力内での権力闘争も原因にあるという。

「韓国左派は湖南地方(韓国西南部)と嶺南地方(韓国東南部)を中心とする2つのグループに分けられる。湖南地方のルーツは金大中元大統領で、前の大統領秘書室長だった任鍾皙(イム・ジョンソク)に連なり、北朝鮮の金正日主体思想派ともいえる。一方、嶺南地方は金泳三元大統領、盧武鉉元大統領、文大統領、チョ氏の系譜で、南北統一し、朝鮮半島を社会主義国家にしたい。北朝鮮からすれば、同じ親北でも湖南左派を信頼している」(高氏)

 キーパーソンといえるのが任氏。大統領府のナンバー2で、対北朝鮮交渉を一手に担い“陰の大統領”とも呼ばれ、次期大統領候補にも名前が挙がっていた。ところが、今年1月に大統領秘書室長を退任。韓国内では文大統領と衝突したことによる左遷説、次期大統領レースに備えての辞任説、チョ氏を重用したことへの反発説などと臆測が飛んでいた。

「理由がよくわからないまま、任氏は秘書室長を退任し、チョ氏が次期大統領候補に押し上げられた。北朝鮮が指示を出していたのは、任氏だったのは間違いない。現在の文政権に反対する動きやチョ氏への捜査も任氏が尹検事総長に情報を流しているのではないかともいわれています」(高氏)

 文大統領は国連総会の演説で北朝鮮の「体制の安全」を保障するよう訴えたが、金正恩朝鮮労働党委員長が文政権に辛辣な姿勢を見せ続けている事情も納得できる。

 韓国内で左派同士でも路線の違いで“内ゲバ”を繰り広げているともいえる。チョ氏はもちろん、文大統領にまで捜査の手が伸びれば、韓国政局はますます混乱を極めることになる。