トランプ米大統領をドローンテロから守れ!

2019年05月21日 07時15分

トランプ大統領をドローンが襲ったら?(ロイター)

 ドローン(無人機)とみられる物体が今月初め、皇居周辺や東京・八王子市の武蔵陵墓地で目撃されたものの、誰が何の目的で飛ばしたのか不明のままだ。世界に目を向けると、ドローンを使ったテロが相次いでいる。サウジアラビアで原油タンカーや石油パイプライン施設がドローンで攻撃され、被害を受けた。今月末にはトランプ米大統領の来日が控えているとあって、警察当局に緊張が走っている。

 サウジアラビアでのドローンテロは2度にわたって起きた。12日にアラブ首長国連邦(UAE)の沖合で、原油タンカー4隻がドローン攻撃を受け、船体が大きく損傷。うち2隻はサウジ船籍だった。14日には石油パイプラインの採油施設2か所が7機のドローンの攻撃を受けた。この攻撃には、隣国イエメンの反政府武装組織フーシが犯行声明を出した。

 背景には米とイランの対立がある。米がイラン産原油の全面禁輸を発表。イランによる軍事的脅威の兆しがあるとして、中東に空母打撃群や戦略爆撃機B52を派遣したため、イラン情勢は緊迫下にある。フーシはイランの支援を受けているとされ、米と同盟関係にあるサウジを攻撃したというワケだ。

 タンカーと原油施設への攻撃にドローンが使われた点に日本の警察関係者は神経をとがらせている。

「昨年、南米ベネズエラでマドゥロ大統領を狙ったドローンによる暗殺未遂事件があった。今回のサウジへの一連の攻撃を見てもドローンの性能が向上し、爆弾の積載量も多い。要人を狙ったテロがいつ起きてもおかしくない状況です」(警察関係者)

 直近で警戒されるのはトランプ大統領の来日だ。メラニア夫人を伴って、天皇陛下即位後初めての国賓として、25~28日にかけて日本に滞在する。滞在中は皇居での天皇皇后両陛下との会見、千葉県内で安倍晋三首相とのゴルフ、両国国技館で大相撲千秋楽の観戦などが予定されている。

 警視庁は先日の警備会議で特別警備本部の設置を決定。三浦正充警視総監は「過去の米大統領の来日時はゲリラ事件などが発生し、日本に対するテロの脅威も依然として継続し、予断を許されない状況だ」と訓示した。

 ドローン対策の専門部隊やテロ対策でサブマシンガンを携帯する機動隊の緊急時初動対応部隊(ERT)を配置する。

 2年前の来日時と同様であれば、トランプ大統領は横田基地にエアフォースワン(大統領専用機)で飛来し、六本木の米軍ヘリポート基地まではマリーンワン(大統領専用ヘリ)で移動。都内はビースト(大統領専用車)で移動するとみられる。

 今月2、6日に飛来したドローンとみられる物体は、皇居周辺のほか、六本木や武蔵陵墓地でも目撃された。誰が何の目的で飛ばしたのかはいまだ不明。いずれも近くに米軍施設があり、トランプ大統領の立ち寄り先である点は不気味である。

 懸念されるのはドローン攻撃を受けた際、どこまで対応できるのかだ。先日、韓国陸軍は爆弾を搭載した攻撃用と自爆型ドローンを公開。デモンストレーションでは戦車を無力化させた。

 爆発物や化学兵器を搭載したドローンに攻撃された際、大統領周辺に近づけさせない妨害電波を発するジャミングなどで対処するとみられるが、複数台の攻撃や揚力を失い落下した機体への対応は未知数。ビーストは爆弾や地雷にも耐え得るとされるが、専門家は突発的に飛来するドローンへの対処は困難を極めるとみている。

 また大統領を警護するシークレットサービスは、過去の来日時を見ても独自の警備態勢を敷くため、日本の警察当局との連携はスムーズとはいかない。今回のトランプ大統領の滞在は移動が広範囲に及ぶ上、ドローン攻撃の可能性に備えるとあって、過去にない厳戒態勢が敷かれることになる。