麻生太郎副総理兼財務相は22日の会見で、告示された福岡知事選(来月7日投開票)が自民党の分裂を招いたことに「分裂でなく造反です」と語った。同知事選は、無所属で3選を目指す麻生内閣時代に内閣広報官だった現職の小川洋氏と、麻生氏が応援する元厚生労働省官僚の武内和久氏による一騎打ちの様相だ。小川氏の出陣式では「なぜ(麻生氏は)現職知事を引きずり降ろすのか。一部の権力者と福岡県民の戦いだ!」と麻生氏に猛反発する怒りの声が噴出。自民党内では、麻生氏が小川氏でなく武内氏を推薦したのは、3年前の福岡6区の補欠選挙を巡り、菅義偉官房長官に対する因縁があったからだといわれている。

「当時、小川氏は麻生氏が応援した新人候補を支持しなかった結果、菅氏が推した候補者が当選した。麻生氏は小川氏に激怒したといいます。今回、小川氏は菅氏から推薦を受け、二階俊博幹事長の二階派議員など福岡の国会議員半分から支持を得た。選挙戦は麻生氏が応援する武内氏より小川氏の方が優勢です」(自民党関係者)

 麻生氏は22日、武内氏の劣勢報道に対し「自民党の総裁、安倍晋三の推薦が出ている候補者を私どもは推して、福岡市長もそれに乗る形になっています」と強がった。

 麻生氏の“造反”発言について、政府関係者は「麻生氏は安倍首相に『武内氏を推薦しないなら、私は副総理を辞職する』と詰め寄ったといわれている。安倍首相はモリカケ問題で世間の批判を浴びながら麻生氏を守ったほど、功労者扱いし、武内氏への推薦を断れなかった。与党内では武内氏が落選した場合、麻生さんにベッタリの安倍首相の求心力が、急激に落ちるのではないかと心配されています」と語る。

 麻生氏の暴走は福井、島根、徳島の各県など、自民党勢力の支持が割れた保守分裂知事選に「悪影響が出るのでは」と党内での不安をあおっている。