安倍首相の言語感覚が“鳩山由紀夫化”

2013年03月25日 10時30分

【藤本順一、上杉隆の言いたい放談】2013年3月23日掲載紙面から

 自民党の党大会、都連大会が開催され、多くの出席者で会場が沸いたが、旧態依然ともいえる姿に安倍政権の不安要素が頭をもたげ始めてきた。一方、福島第1原発では停電で冷却装備が一時停止するアクシデントが発生し、いまだ不安定な管理態勢が露呈した。本紙「永田町ワイドショー」藤本順一氏、元ジャーナリストで公益社団法人自由報道協会理事長の上杉隆氏が指摘する安倍政権の死角とは――。

 藤本:自民党の党大会には3500人もの支持者が詰めかけましたね。安倍内閣の支持率は政権発足当初からうなぎ上りで、ついに各社軒並み70%超の驚異的な数字を弾き出しています。

 上杉:政党支持率も40%を超えていますね。政権転落前、内閣支持率が低空飛行を続けていたころ、ある自民党幹部が内閣と政党の支持率を足した数字が政権の真の支持率だとうそぶいていたけど、それでいけば110%になってしまう(笑い)

 藤本:このままいけば夏の参院選で、長らく続いた衆参のねじれを解消する可能性がかなり高い。全部で31ある1人区で、民主党が勝てそうな選挙区は岩手と三重の2選挙区だといわれていますが、それすら危うい。

 上杉:党大会には農業、医療、建設など各種団体が大挙して押しかけましたね。古い自民党に逆戻りしなければいいのですが…。

 藤本:そうですね。安倍自民党がTPP交渉参加に反対する農協や医師会を守るというのも、つまるところ参院選対策でしかない。カネと票で結びついた自民党型の利益誘導政治そのものです。調子に乗りすぎているんじゃないかな。

 上杉:もう忘れられているかもしれませんが、あの鳩山政権ですら発足当初は70%を超えていましたが、あっという間に転落した(笑い)。

 藤本:そう言えば、安倍首相は都連の大会で「(参院選勝利は)親の敵を討つようなもの。これに勝たなければ死んでも死に切れない」とあいさつしましたが、6年前の参院選敗北は自分がまいたタネですから「親の敵」とは違うでしょう。日本語の使い方が間違っているのに、本人は気が付いていないから、少なくとも言語感覚が“鳩山由紀夫化”してきたことだけは間違いない(笑い)

 上杉:日本語をきちんと使えない人が大学入試の受験資格にTOEFL(英語運用能力テスト)を導入するなんてことを言い出したのも由紀夫化の兆し、大いにありです。他国語なんてしょせんは意思伝達の手段に過ぎないのにね。

 藤本:安倍首相は小中学校のカリキュラムに、日本の伝統文化を土台にした道徳教育を組み入れようとしています。だったら英語じゃなく、漢文や古典の運用能力テストを導入すると言えばまだ理解できるのに、明らかに言語中枢、論理をつかさどる脳の一部に異常がみられます(笑い)。

 上杉:異常といえば、福島原発の停電。復旧しなければ4日で4号機の燃料プールの水温は65度を超え、数日で沸騰していました。水が蒸発すればメルトダウンで、半径250キロ圏内が、避難対象になる最悪の事態。それがネズミ1匹で引き起こされたというからトホホと言うしかない。

 藤本:自民党の高市早苗政調会長(52)が、北朝鮮のテロ対策で自衛隊を原発警護に充てるべきと訴えていたけど、自衛隊にはネズミ駆除もお願いしないと(笑い)。

 上杉:東電が停電を公表したのは発生から3時間後で、記者会見は翌日に後回し。隠蔽体質は相変わらずで、原発の管理運営のお粗末さがあらためて浮き彫りになった。やはり原発の再稼働はやめておいた方がいい。

 藤本:安倍首相の言葉を借りれば、ネズミ1匹でメルトダウンじゃ、それこそ「死んでも死にきれない」からね(笑い)。

☆ふじもと・じゅんいち=1958年、福岡県生まれ。新聞、雑誌記者を経て独立、取材執筆集団「メディアフォーラム」代表。「建設業界・談合が崩壊する日」「永田町奇譚 もしニッポンの総理が東スポを愛読してたら…」など著書多数。

☆うえすぎ・たかし=1968年、福岡県生まれ。テレビ局、衆院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ取材記者、フリージャーナリストを経て、公益法人自由報道協会理事長。ミドルメディア「NO BORDER」代表。