トランプ米大統領は10日、米メキシコ国境を視察し、国境地帯は「危機的状況」だと危機感をあおった。不法移民や薬物、犯罪者の流入が続き「国境で人道と安全の危機が増大している」と主張しているトランプ氏は、安全を守るために壁の建設が必要だとして57億ドル(約6200億円)を盛り込んだ予算を認めるよう野党民主党に要求している。

 壁の建設に反対している民主党とトランプ氏が対立しているため予算が成立せず、政府機関の一部閉鎖は3週間目に入り長期化している。議会を通さずに壁の建設費を確保するため「国家非常事態」を宣言する可能性についても、トランプ氏は「予算が認められなければ恐らく宣言する」「宣言はできるが、必要はない。(非常事態であることは)常識だ」などと強硬措置をちらつかせた。

 在米ジャーナリストのマリエ・ウエダ氏は「壁の建設に反対し、オープンボーダーの継続を強いる国会議員たちは民主党員で、いわば“超左翼または共産党”と呼ばれるものです。世界中の国境をなくして犯罪者でもテロリストでも無差別に移民の入国を歓迎するという考えの持ち主です」と指摘する。

「壁の建設」を選挙公約にしたトランプ氏にとっては、それは絶対に許せないことだという。トランプ氏はボーダーになぜ、壁が必要かという理由を主に4つ挙げている。

「違法移民を防ぐこと。中南米で誘拐・拉致された子供たちをアメリカに“輸入”する売買を遮断不可能にすること。麻薬と武器の米国への密輸入を防止すること。民主党が不法移民者たちに選挙権を与え勢力拡大を図っているので不法選挙投票を防ぐこと。しかし、左派メディアが理由を報道せず、一般国民にはなぜ壁が必要なのか、分からないのが現状です」とウエダ氏。

 米下院の多数派はオープンボーダーを支持する民主党。この政治混乱は、なかなか解決しそうにない。